被爆者・被爆二世の転居 「居住地変更届」を忘れないで
年度替わりのこの時期、転居に関する相談が増えます。高齢化した被爆者が施設に入居して住民票を移す場合はもちろん、被爆二世が仕事の関係で転居するケースなどが増えるからです。
被爆者や被爆二世が引っ越す場合、東京都に転居の届けを出す必要があることを忘れないでください。手続きをしないでいると、被爆者の手当が止まったり、二世の健康診断受診票、医療券の更新通知が届かないなど、制度を利用できなくなる場合があります。
このページで説明しているのは、主に「いま東京在住の被爆者・二世が、都内で転居する場合」です。
具体的な手続きは、東京都内での転居と、東京都から他県への転出、他県から東京都内への転入、また被爆者と被爆二世で方法が異なります。概要をページ下部にまとめました。
都内での転居の注意点
都内での転居(例えば文京区から町田市への引っ越し)では、転居先の区市町村の役所に転入手続きをし、新しい住民票を取得します。その新しい住民票を添付して、東京都に「居住地変更届」を出します。このとき、次の点に注意してください。
- マイナンバーの記載がない住民票を取得してください。
通常、住民票の発行を依頼するときの申請用紙に、マイナンバーを記載するかどうかのチェック欄がありますが、ここにはチェックをつけないでください。 - 同じ区市町村内での転居の場合に限りますが、前住所が記載された住民票を取得してください。
行政の簡素化にともない、同じ区市町村内での転居の場合、前住所の記載が省略された住民票が発行されるケースがあるからです。 - もし、手続きをしないまま何度か転居してしまったあと、居住地変更の申請をするときは、「戸籍抄本の附票」など転居した住所の履歴がわかる証明書類を添付する必要があります。
国の被爆者援護法および東京都被爆者援護条例にもとづく制度・施策は、区市町村ではなく東京都が管理しています。このため、転居前後の区市町村への手続きだけでなく、対象となる被爆者・被爆二世の移動が明確に伝わるよう、東京都に「居住地変更届」を出すことが求められています。
次のものは現物で
被爆者の場合、「被爆者健康手帳」や諸手当の「手当証書」は、現物を添えて申請します。
被爆二世の場合、「健康診断受診票」、医療費助成を受けている人は「医療券」の現物を添えて申請します。
東京都は、これらの現物書類の住所を新しく書き換えて返送します。
時期にもよりますが、通常は返送まで2週間ほどかかります。不安なら現物のコピーを手元に残しておいてください。「被爆者健康手帳」などの提示を求められたときは、コピーを見せて東京都で変更手続き中であることを説明してください。
被爆二世の注意点
被爆者の制度は、被爆者援護法にもとづく国の制度なので基本部分は全国共通です。その上で、東京都は独自の追加施策を実施しています。
一方、被爆二世に関する国の法律はなく、全国共通なのは年1回一般健診を無料で受けられる行政施策だけで、それ以外は自治体ごとに対応が違います。東京都では都条例で被爆二世も位置づけられており、項目が追加された一般健診、がん検診が無料で受けられ、独自の「医療費助成」もあります。こうした東京都の独自施策は、他県では受けられません。
「居住地変更届」の書類は東友会にあります。その他不明な点があれば、東友会にお問い合わせください。
被爆者・被爆二世が転居するとき必要な書類と手続き(東京都の場合)
東京都内での転居・姓名の変更
- 被爆者:「被爆者健康手帳」所持者
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- 居住地(氏名)変更届(都内変更)
- 住民票(転居後のもの。マイナンバーなし、転居前の住所記載のもの)
- 「被爆者健康手帳」
(コピーでなく現物。東京都による書き換え後に返送されます) - 手当受給者は「手当証書」
(コピーでなく現物。東京都による書き換え後に返送されます) - 支払金口座振替依頼書
(転居にともない振替口座を変更したい人だけ)
- 被爆二世:東京都の「健康診断受診票」所持者
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- 居住地(氏名)変更届(都内変更)
- 住民票(転居後のもの。マイナンバーなし、転居前の住所記載のもの)
- 「健康診断受診票」
(コピーでなく現物。東京都による書き換え後に返送されます) - 医療費助成を受けている人は「医療券」
(コピーでなく現物。東京都による書き換え後に返送されます) - 「医療券」を持っていて健康保険が変わった人は「健康保険証」の変更届
姓名の変更は、被爆者・被爆二世とも、上記に「戸籍抄本」を追加して提出します。ただし転居をともなわない場合、「住民票」は不要です。都外へ転出する場合は「転出」もご参照ください。
東京都から他の道府県への転出
- 被爆者:「被爆者健康手帳」所持者
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東京都でおこなう手続きはありません。
転入先の自治体に転入届を出して住民票を登録するとき、「被爆者健康手帳」と「手当証書」を持参して手続き方法をご確認ください。
「介護手当」は転入した道府県で新しく申請することになります。【注】海外に転居する場合は、事前に東京都に連絡してください。
- 被爆二世:東京都の「健康診断受診票」所持者
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転出時、「被爆者の子の居住地変更届(都外転出用)」を出し、東京都から発行されていた「健康診断受診票」や「医療券」を都へ返却します。東京都の被爆二世施策のうち独自の追加施策(がん検診、医療費助成など)は、他の道府県では使えません。
転入した道府県で、新たに被爆二世の申請をおこないます。(各県の二世施策は、東京都の内容と異なる点に注意してください。)
他の道府県から東京都への転入
- 被爆者:「被爆者健康手帳」所持者
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- 居住地(氏名)変更届(転入者用)
- 住民票(東京都内の区市町村、マイナンバーなし)
- 「被爆者健康手帳」
(コピーでなく現物。東京都による書き換え後に返送されます) - 手当受給者は「手当証書」
(コピーでなく現物。東京都による書き換え後に返送されます)
手当振込口座は「居住地(氏名)変更届(転入者用)」に記入欄があります。
- 被爆二世
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東京都以外の道府県で被爆二世の登録をしていても、東京都では利用できません。新たに東京都の規定に従って被爆二世の申請をします。東京では、「健康診断受診票」の発行が、被爆二世の登録になります。