原爆症認定集団訴訟千葉地裁判決についての声明
2008年(平成20年)10月14日
- 日本原水爆被害者団体協議会
- 原爆症認定集団訴訟全国原告団
- 原爆症認定集団訴訟全国弁護団連絡会
本日、千葉地方裁判所は、被爆者4名にかかる原爆症認定集団訴訟に関して、原告4名に対する厚生労働大臣の却下処分を違法とし、未認定だった2名の却下処分を取り消して原爆症と認める全面勝訴判決を言い渡した。
すでに、全国の地方裁判所において、ほとんどの原告を原爆症と認める判決が10度繰り返され、仙台、大阪では、被爆者全員を原爆症と認める高等裁判所の判決が確定している。
本日の千葉地方裁判所における判決も、旧審査の方針について「DS86及び原因確率のいずれにも一定の限界があり、これらを機械的に適用して放射線起因性を判断するのは相当ではない」と指摘した。
判決は本年4月から実施されている「新しい審査の方針」でいわゆる積極認定の対象となっていない肝機能障害であるC型肝炎ウイルスによる肝硬変について、放射線起因性を認めた。また、積極認定の対象ではない脳梗塞についても、放射線起因性を認めている。さらに、積極認定の対象とされながら、わずかしか認定されていない心筋梗塞についても、放射線起因性を認め原爆症と認定した。
判決は、「新しい審査の方針」について、待ったなしの抜本的見直しを迫るものである。
被爆後63年を経て、被爆者の高齢化は進み、全国では勝訴原告を含む59名が提訴後に死亡している。原告・被爆者に残された時間は長くはない。
去る9月25日、河村官房長官は、記者会見において「原爆症認定訴訟は、一挙に解決すべき時に来ている」と述べた。
国及び厚生労働大臣は、千葉判決に対する控訴を断念すべきである。そして、今こそ「新しい審査の方針」を抜本的に見直すととともに、集団訴訟を全面的に解決し、全ての被爆者を救済すべきである。さらに、被爆国の政府として、被爆者の悲願である核兵器廃絶と国家補償の実現をはかるべきである。