被爆者相談所および法人事務所
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原爆症認定集団訴訟 札幌、千葉でも連勝

「新しい審査の方針」の抜本的見直し迫る判決
国・厚労省はただちに全面解決をはかれ

 原爆症認定集団訴訟で、また新たな、うれしいニュースがつづきました。札幌地裁が2008年9月22日、7人の原告全員、千葉地裁が2008年10月14日、4人の原告全員をそれぞれ救済する判決を言い渡したことです。
 札幌の原告7人のうち3人は各部位のガンで、厚生労働省によって判決前に認定されていました。判決の対象になった原告4人について、認定された疾病は、肝硬変(B型)、高血圧症、慢性C型肝炎、慢性甲状腺炎(橋本病)でした。
 千葉地裁の原告4人のうち2人はガンで、判決前に認定されていました。判決の対象になった疾病は、C型肝硬変、食道静脈瘤、赤血球減少症、陳旧性心筋梗塞、脳梗塞後遺症でした。
 日本被団協、全国原告団、全国弁護団は、札幌判決について即日、声明を発表。「判決は『新しい審査の方針』の抜本的見直しを迫るもの」であり、「控訴を断念し、集団訴訟を直ちに、全面的に解決すべき」だとのべました。千葉判決については「審査の方針」の「待ったなしの見直しを迫る」ととともに、河村官房長官が「原爆症認定訴訟は一挙に解決すべきときにきている」と記者会見で述べた趣旨にそって、控訴断念と訴訟の全面解決をはかるべきだと要求しました。

国・厚労省 認定枠の拡大を示唆するも地裁判決には控訴

 札幌地裁判決後の9月25日、河村建夫官房長官は記者会見で「裁判を含めて問題を長引かせたくないという被爆者の思いをうけとめないといけない」、「一挙に裁判問題を解決する時期にきていると感じる。舛添大臣と突っ込んだ協議をしたい」と述べました。
 しかし厚生労働省は、10月3日に札幌地裁判決に対して、10月17日に千葉地裁判決に対して、それぞれ控訴しました。ただ、控訴理由の中には、「(肝機能障害ついては)与党PTの提言があり、(甲状腺機能低下症については)大阪高裁判決があった」ことから、原爆医療分科会で「専門家に取り扱いを議論していただくことにした」の記述がありました。
 これは認定枠の拡大を示唆したものではないかと、注目されていました。
 はたして10月15日の厚生労働省通知に、“10月20日、医療分科会を開き、2つの疾病について論議する”とありました。新しい展開が予測されます。

たすきを掛けた集団訴訟原告はじめ被爆者と支援者が、厚生労働省前の歩道に並び立ち、厚生労働省に向かってこぶしを挙げている。横断幕を持つ人たちもいる。
札幌地裁判決後、連敗つづきでも態度を改めない厚労省に向けてシュプレヒコール
厚生労働省前でカッパを着、「全面解決」など貼り付けたビニール傘を差し、横断幕を広げて座り込みに参加する原告・被爆者たち
雨の日も座り込んで…