被爆者相談所および法人事務所
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原爆症認定集団訴訟 千葉第1次訴訟東京高裁判決についての声明

  1.  本日、東京高等裁判所第21民事部(渡邉等裁判長)は、原爆症認定集団訴訟・千葉第一次訴訟に関し、未認定原告2名について、厚生労働大臣の認定申請却下処分を取り消すとした原判決を維持し、厚生労働大臣の控訴を棄却した。
  2.  すでに、大阪・広島をはじめ全国のべ11地方裁判所において、同様の判決が繰り返され、仙台・大阪では、被爆者全員を原爆症と認める高等裁判所の判決が確定している。
     本日の東京高等裁判所における判決も、原爆被爆者を救済の対象から排除する根拠としてDS86及びDS02による被曝線量の推定計算の結果を用いることは、これによっては賄いきれない事態が生じていることから、援護法の趣旨目的に照らし、相当であるとはいえないとしている。
     そして、「新しい審査の方針」に明記されていないがん以外の疾患についてもがんと同様に考えるべきであるとして、新しい審査の方針では救済が不十分であることを指摘する内容となっている。
  3.  本判決は、原判決に引き続き、肝機能障害について放射線起因性を認めているが、これは集団訴訟では高等裁判所における初めての判断であり、高く評価できるものである。
  4.  今回の判決により、国は原爆症認定集団訴訟において14連敗となった。
     昨年4月から行われている「新しい審査の方針」以降も、既に2高裁、7地裁が積極認定の範囲外の疾病について放射線起因性を認めており、現時点でも原爆症認定行政が狭く被爆者救済に程遠いことは明白である。
     厚生労働大臣に対しては、原爆症認定についてこれを根本的に批判する司法判断が定着しているということを厳粛に受け止め、原爆が被爆後63年を経過してもなお被爆者の身体と心と暮らしを傷付け続ける非人道的な兵器である事実を直視することを求める。
     原爆症認定集団訴訟の取り組みが始まって約6年、既に63名の被爆者が亡くなっている。昨年11月19日、河村建夫内閣官房長官は「東京高裁判決がタイムリミットだ。それ以上(解決を)遅くすることはない」と明言している。厚生労働大臣は、本判決の内容を真摯に受け止めて本判決に対する上告を断念し、不十分な「新しい審査の方針」を抜本的に見直すとともに、全ての被爆者を救済すべく全面解決に着手すべきである。

2009年3月12日 原爆症認定集団訴訟全国原告団