被爆者相談所および法人事務所
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千葉第1次訴訟 厚生労働省の不当な上告に対する抗議声明

 原爆症認定訴訟(千葉一次訴訟)について去る3月12日に東京高等裁判所第21民事部(渡邉等裁判長)が言い渡した一審原告勝訴判決に対し、本日、厚生労働省は不当にも上告受理を申し立てた。
 本件東京高裁判決は、原爆放射線被曝が、わずかな被曝線量であっても被爆者の身体に深刻な影響を長期間にわたって及ぼし続けること、原爆放射線が原因となる疾病はがん等「新しい審査の方針」の積極認定対象疾病に限られないことを明らかにし、集団訴訟の高裁判決としてははじめてC型肝炎ウイルス由来の肝硬変の放射線起因性を認めたほか、心筋梗塞や脳梗塞についても放射線起因性を認めたものであり、被爆の実相を直視し、被爆者援護法の精神を実現しようとしたものである。
 本件上告にあたり、厚生労働省は、東京高裁判決が被爆者援護法の解釈適用を誤っているとしている。しかし、厚生労働省が自ら策定した「新しい審査の方針」を素直に読めば、当然、被爆者援護法にいう放射線起因性の解釈は東京高裁判決が判示するとおりのものとなるはずである。そのような判決に不服を申し立てるのは、いたずらに審理を長引かせるものであり、病身を押して闘っている被爆者に更なる苦痛を与えるものである。
 今、厚生労働省に望まれるのは、国民の生命と福祉に責任のある行政機関として、「新しい審査の方針」策定後も認定行政を批判し続ける司法判断を真摯に受けとめ、全国の訴訟を全面的に解決するとともに、原爆症認定基準を被爆の実相に即したものにするよう抜本的に改めることである。今回の上告受理申立ては、被爆者救済を求める司法判断とこれを支持する国民世論に背き、厚生労働省の威信をも損なうものである。
 既に306名の全国原告団のうち63名が鬼籍に入った。訴訟解決にはもはや一刻の猶予もない。
 我々は、厚生労働省に対し、上告受理申立てをただちに撤回し、被爆者救済に協力することを強く要望するともに、早期に原爆症認定集団訴訟を全面解決させ、原爆症認定基準が抜本的に改正されるまで全力を挙げる決意を表明する。

2009年3月25日

  • 原爆症認定集団訴訟全国原告団
  • 原爆症認定集団訴訟千葉県原告団
  • 原爆症認定集団訴訟弁護団全国連絡会
  • 原爆症認定集団訴訟千葉県弁護団
  • 日本原水爆被害者団体協議会
  • 千葉県原爆被爆者友愛会
  • 原爆症認定集団訴訟支援全国ネットワーク
  • 原爆症認定集団訴訟を支援する千葉の会