東数男原爆裁判
控訴審始まる
被爆の実相にそった審理を
「控訴は犯罪的訴訟戦略」 弁護団、「不毛な科学論争」を批判
東京地裁で完全勝訴した「東数男原爆裁判」に、国=厚生労働省が控訴したため始まった同裁判の控訴審第1回口頭弁論が、2004年7月13日午前11時から、東京高裁101号法廷でおこなわれ、90人が傍聴しました。
弁論は、高見澤昭治弁護士の意見陳述に始まりました。同弁護士は、原爆症認定訴訟では、これまでに最高裁をはじめ7つの裁判所で審理がおこなわれ、被爆者が7つの勝利判決を得ている、いずれの判決も国の誤った認定行政を厳しく批判している、国=厚生労働省はこれら司法の判断を無視して、非情にも上訴を繰り返している、これは「犯罪的な訴訟戦略だ」と、厳しく批判しました。
続いて、安原幸彦弁護士が、「東数男さんは肝ガンになったことが確認された」とのべ、「不毛な科学論争」に惑わされることなく、一日も早い控訴棄却をと求め、「もうこれ以上苦しめないでください」という東さんのことばで弁論を締めました。
弁論を聞いた裁判長は、「東さんは火傷をした。熱線と同時に放射線などを複合的に受けたと思われる。その被曝線量は示せるのか」「C型肝炎はウイルスが原因だとしても、ウイルスを受けた人がみんなC型肝炎になるわけではない。病気に弱くなる原因に、原爆があったとはいえないのか」などと、本質にズバリ迫る質問をし、これらを次回には分かるようにしてほしいと国に指示しました。