東数男原爆裁判 厚生労働省の上告断念文
東数男原爆裁判で、2005年4月11日にプレスリリースされた厚労省の上告断念文の要旨を掲載します。
判決は、東氏の肝機能障害を原爆の放射線に起因するものと認めるとしているが、医学・放射線防護学上の一般的な理解とは大きく異なっている。判断の前提とされた科学的知見の評価も、同様である。
しかし、こうした事実認定を最高裁で争うことは困難であるから、上訴は行わない。
この判定は、個別の事案に対する判断であり、医学・放射線防護学の観点からは特異なものであるから、直ちに審査の在り方の見直しにつながるものではない。肝機能障害に係る申請の取り扱いについて、あらためて検討する。
原爆症の認定に当たっては、放射線起因性について「高度の蓋然性」を証明することが必要であるとの基本的な考え方が最高裁で示されているから、今後もこれに沿って、審査を行う。