東数男原爆裁判
控訴審判決 東京高裁でも完全勝利
「C型肝炎も原爆のせい」 判決に感動の拍手、握手、涙
「本件控訴を棄却する」2人の弁護士が法廷を飛び出しました。「完全勝利」と大書きしたのぼりが、裁判所前で待機していた人びとに示されました。「やった」「バンザイ」、「裁判長ありがとう」。拍手が、涙が、感動の握手が、抱擁が、法廷内で100人、法廷外で80人の人びとの間で、何度もわきたち、交わされました。東さんの遺影が、宣伝カーのデッキでほほえんでいるようでした。2005年3月29日午後2時、東京高裁の岩井俊裁判長が、東数男原爆裁判で、C型肝炎も原爆のせいであると認めた瞬間です。
長崎で原爆被害を受けた東さんが、肝機能障害で原爆症認定申請を出してから11年。1審の東京地裁で完全勝利の判決を昨年3月31日に勝ち取ったものの、国側の控訴で判決が確定しないまま、東さんは今年1月29日に肝不全で亡くなりました。生きているうちに高裁判決を聞くことができず、さぞや悔しかったろうという思いが、人びとの胸に交錯していました。
宣伝カーのマイクが叫びました。「この判決を確定させよう。『上告するな』の声を国・厚生労働省にぶつけよう」。喜びはすぐに、次のたたかいの決起へとつながっていきました。
画期的によい判決 勝利の報告集会に200人
東原爆裁判の勝利を受けて、報告集会が午後2時半から弁護士会館でおこなわれ、200人が参加しました。
東さんの妻・朝子さんが、支援に感謝するあいさつを読み上げ、藤平典東友会会長・日本被団協代表委員、集団訴訟全国弁護団の池田眞規団長、医師団の向山新医師、東京地婦連の田中里子さんが、それぞれ喜びのあいさつをしました。歌手の横井久美子さんが、峠三吉の詩を歌いあげました。
判決の検討を終えた東訴訟弁護団の高見澤昭治団長が、東友会、弁護団など連名の声明文を読み上げ、画期的によい判決であると説明しました。
国会でも、民主党と共産党が30日の厚生労働委員会で取り上げることがきまり、代表が説明に飛び出しました。
厚生労働省へも、さっそく交渉団が向かい、「上告するな」と申し入れました。歴史的な1日でした。