被爆者独自の「介護手当」 自宅で介護を受ける被爆者が対象
介護が必要になったときは、被爆者も「介護保険制度」を使います。「介護保険制度」の中には、被爆者を特別に支援する内容はありませんが、介護サービスの種類によっては「被爆者の制度」から利用料の自己負担分が助成される(無料になる)ものがあります
一方これとは別に、「被爆者の制度」として「介護手当」があります。今回はこれにスポットを当てます。
- 介護保険制度
- 「被爆者の制度」が使えない介護保険サービスは、被爆者も自己負担が必要です。
- 「被爆者の制度」が使える介護保険サービス
- 利用料の自己負担分が助成されます。
- 被爆者の制度
- 介護保険サービス利用料への助成とは別に、今回のテーマである「介護手当」があります。
- 介護保険外の自費サービス
- 被爆者も全額自己負担です。
「介護手当」とは
被爆者手帳を持っている人が、自宅で介護を受けるようになったとき申請できるのが「介護手当」で、被爆者独自の制度です。
被爆者の「介護手当」は、介護保険の在宅サービスを受けていても受けられます。病院や施設に入っている人は基本的に「介護手当」を受けられませんが、介護施設の種類によっては認められる場合もあります。具体的なことは東友会にご相談ください。
一時的な入院や短期入所(ショートステイ)の場合は、その期間は「介護手当」を受けられません。入所日、退所日、外泊の日は「介護手当」が認められます。
「介護手当」は2種類
「介護手当」は次の2種類があり、どちらか一つだけを受けられます。同時に両方を受けることはできません。
それぞれの特徴や支給額は表にまとめました。
2つの「介護手当」は「被爆者の制度」で決められたもので、「介護保険制度」によるものではありません。国は、あくまで被爆者本人に支給される手当であり、被爆者の家族への支援対策の位置づけはない、としています。
一般介護手当
ホームヘルパー(介護保険以外も含む)や別居の親族、知人・友人に、費用を支払って自宅で介護を受けている被爆者が対象です。認定されれば、月ごとに支払った費用を申請することで、限度額(上限額)まで支給されます。
家族介護手当
介護料を払わず同居の家族だけから介護を受けている被爆者が対象です。認定されれば、毎月定額が支給されます。
同居家族以外、つまり別居の親族、知人や友人、ホームヘルパーなどに費用を払って介護を受けるようになると、「一般介護手当」に切り替えなければなりません。
東京都の独自施策
東京都では、国の基準に加え独自の施策を追加しています。
「介護手当」の受給条件の緩和
「介護手当」は、障害の程度に応じて「重度」と「中度」に分けられています。国の基準では「家族介護手当」は重度しか認められませんが、東京都では中度まで認めています。手当の支給額の加算
国基準の支給額に、独自の加算分を上乗せしています。
「介護保険制度」もしばしば改定され、「被爆者の制度」の適用範囲が変わることがあります。被爆者の介護に関する疑問があれば、お気軽に東友会までお問い合わせください。
条件等 | 家族介護手当 | 一般介護手当 |
---|---|---|
受給条件 | 被爆者が在宅で、どこにも介護費用を支払っておらず住民票で同居となっている家族から介護を受けていて、手当の基準にある場合。 | 被爆者が在宅で、ヘルパーなどの介護サービスや別居の家族・親戚や知人に、介護費用を払って介護を受けていて、手当の基準にある場合。 |
手当額 |
|
|
手当の性格 | 毎月定額の手当。 月ごとに請求書類を出す必要はない。 |
かかった介護費用を限度額まで助成する手当。 かかった介護費用を月ごとに計算して請求書類を出す必要がある。性格的には、限度額のある「還付請求」(払い戻し)。 |
支給方法 | 「家族介護手当」が認められたら、とくに何もしなくても毎月、指定した被爆者本人の口座に東京都から振り込まれる。 | 月ごとの請求を東京都に提出すると、限度額を上限にして、指定した被爆者本人の口座に東京都から振り込まれる。 つまり、人によって、月によって、支給される金額は変わる。 |
その他 | ヘルパーなど費用のかかるサービスを使うようになると、「一般介護手当」に切り替えが必要。 | 必ずしも毎月請求する必要はなく、一定の期間遅れて請求を出してもかまわない。ただし支給も遅れる。 |
注意点
- どちらの介護手当も、年1回更新が必要。
- どちらの介護手当も、介護を受けている被爆者が病院や施設に入院・入所すると、受けられなくなる。あくまで「在宅での介護」という点に注意。
- 手当額は、年金などと同じように年度ごとに物価スライドで変わる。