要介護認定と被爆者の制度 納得して介護保険制度を使うために
「これまで『要介護2』だったのが、今度『要支援1』に下げられ、受けられる介護サービスが減らされました」
近頃、こういう相談が増えてきました。今回は、介護保険制度を利用する際、重要な基準となる「要介護認定」の結果と「被爆者の制度」の兼ね合いについて説明します。
要介護認定とは
介護保険制度を利用するとき、最初に居住地の自治体に利用申請をおこなうと、まず「要介護認定」がおこなわれます。これは、調査員の直接訪問による審査や医師の意見書など複数の調査をふまえて、判定されます。
ここで、介護を受ける人の要介護度、つまり要支援1とか、要介護3とか、介護の必要な状態の区分(自立を含め8区分)が決められ、それぞれの要介護度に応じた介護サービスまたは介護予防サービスが提供されます。
つまり、要介護度の違いにによって、受けられる介護サービスまたは介護予防サービスの種類や内容、時間が変わってくるわけです。
被爆者にとっての影響
介護保険制度の利用自体は、被爆者も一般の国民と同等に扱われます。ただ、介護保険のサービスを受けた際の自己負担分が、「被爆者の制度」から助成されるものがあり、この種の介護サービスは被爆者手帳を見せれば無料で利用できます。したがって、要介護度が変われば、受けられるサービスの種類などが変わるとともに、「被爆者の制度」からの助成の有無が変わってくる場合があります。
要介護度の現状に納得できないときは
要介護度の判定は、介護を受ける本人の心身の状態をふまえつつも、介護の手間がどれだけかかるかが重要な判定基準となっています。そのため、心身の状態からみて軽い判定結果が出される場合があります。
例えば、もとは"要介護3"と認定され、利用していたサービスが、更新時に"要支援2"と判定されたため利用できなくなった、といった東友会への相談事例がいくつかあります。
要介護度の認定に疑問を感じた場合は、以下のような対処方法があります。
- 不服申し立て 結果を受け取ってから60日以内に提出
- 区分変更申請 いつでも申請可能
【注】「不服申し立て」「区分変更申請」の結果の要介護認定の有効期間は短く(3カ月から12カ月)、すぐ次の更新が来ます。
介護を受ける人も、介護をする家族なども、不満や不安を抱えたまま過ごすのではなく、納得して介護保険制度を利用できることが大切です。要介護度の認定結果に疑問を感じたときは、一人で悩まないで、まずは東友会にご相談ください。