被爆者相談所および法人事務所
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東京訴訟東京高裁判決についての声明

2009年5月28日

  • 原爆症認定集団訴訟東京原告団
  • 原爆症認定集団訴訟東京弁護団
  • 原爆症認定集団訴訟全国弁護団連絡会
  • 東京都原爆被害者団体協議会(東友会)
  • 日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)
  • 原爆裁判の勝利をめざす東京の会(東京おりづるネット)
  • 原爆症認定集団訴訟を支援する全国ネットワーク
  1.  本日、東京高等裁判所第4民事部(稲田龍樹裁判長)は、原爆症認定集団訴訟東京第一次訴訟に関し、未認定原告10名及び認定原告1名の未認定疾病について、1名を除いて却下処分を取り消す勝訴判決を言い渡した。
  2.  本日の東京高等裁判所判決は、これまでの17ヶ所の地裁・高裁判決を集大成したものである。その中で裁判所は、被爆者援護法の前文をふまえて「単なる社会保障的観点に基づくものではなく、戦争遂行主体であった国の国家補償的措置として行われるものである。」と判示した。起因性の判断基準についても、対立する科学的知見がある場合には、厳密な学問的な意味における真偽の見極めではなく、それを前提として全証拠を総合して判断すると判示し、さらに審査の方針には、欠陥があり、判断基準それ自体に合理性を欠くと判示した。
     また、肝機能障害及び甲状腺機能低下症の放射線起因性を明快に肯定した。さらに、4キロメートル、5キロメートル及び120時間以降の入市のがんについても放射線起因性を認めた。一審原告の一人については、我々の主張が認められなかったことは残念であるが、今後の解決交渉の中で救済を図りたい。
  3.  河村建夫官房長官は、かねてから「東京高裁判決が一括解決のタイムリミット」と述べ、厚生労働省も,「原爆症認定集団訴訟と認定基準の改定に関して,5月末までに予定されている大阪高裁判決、東京高裁判決などの司法判断を踏まえて最終的な判断をする」と明言してきた。
     さる4月5日、アメリカのオバマ大統領は、核兵器を使用した国としての道義的責任にふれ、核の無い世界に向け行動することを明言した。被爆国日本としては、病気や差別とたたかいながら身をもって原爆被害を告発した集団訴訟の原告・被爆者の声をうけとめ、被爆の実態に即した原爆症認定制度を確立し、世界に核兵器の残虐性を示すことが求められている。
     集団訴訟の提訴以来すでに68名の原告が亡くなっており、病弱な被爆者にもはや時間はない。
  4.  本判決は、審査の方針の再改訂と、訴訟の全面解決の指針を示したものであり、いまこそ国は裁判所の判断に従って全面解決に踏み出すべきである。我々は全員救済による訴訟解決を求めてこれから全力で闘う。各位の支援を心からお願いする。

以上