被爆者相談所および法人事務所
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原爆症認定集団訴訟 「にんげんをかえせ!」大行動

原告全員救済と原爆症認定制度のさらなる改善を

 2009年5月15日の近畿第2次訴訟の大阪高裁判決を契機に始まった、原爆症認定集団訴訟の全面解決と原告全員の救済を求めて「『にんげんをかえせ!』大行動」の記録です。

勝利をめざす集い 死亡原告の遺影に必勝を誓う

 2009年5月28日の東京高裁判決での勝利を期して、東友会と「東京おりづるネット」は5月19日に「にんげんをかえせ! 東京集会」を平和と労働センターで開き、被爆者、原告、支援者など100人が参加しました。
 第1次原告の遺影が掲げられた集会では、冒頭に亡くなられた第1次原告14人をはじめ第2次6人、第3次原告5人が紹介された後黙祷が捧げられました。
 6年間の集団訴訟運動を紹介するスライドにあわせて、梅園義胤原告団副団長や原告の西本治子さん、田﨑アイ子さんなどが遺影を掲げながら発言。東京弁護団の高見澤昭治団長と全国弁護団連絡会の安原幸彦副団長が裁判の争点と全面解決についての動きを報告しました。
 参加した原水禁、原水協、反核医師の会、民医連、国民救援会など団体代表からのあいさつがあり、長岡和幸・東友会原爆裁判推進委員会委員長から「にんげんをかえせ! 5月大行動」への参加がよびかけられました。

並べられた机に着席し、壇上からの話を聞く参加者たち。
亡くなった原告の遺影を前に勝利を誓い合った集会(5月19日)

判決後は議員要請など精力的に 各党の議員、党首が協力を約束

 東友会など首都圏の被爆者は、「東京判決をファイナルにする」と言明した厚生労働省に対して、集団訴訟の全面解決と原告全員救済を求めた運動を旺盛にひろげました。
 東京の被爆者と原告は、5月15日の大阪高裁判決日から院内集会、国会議員全員を対象にした要請行動を厚生労働省前での上告するな行動とともに連日つづけました。
 このなかで22日には東友会の長岡和幸東友会原爆裁判推進委員長の要請で公明党政調会長の山口那津男参院議員が面談に応じ、26日には太田昭宏代表との面談が実現しました。
 日本被団協や弁護団の働きかけで25日には民主党の鳩山由紀夫代表、共産党の志位和夫委員長、社民党の福島みずほ党首と新党日本の田中康夫代表が、27日には国民新党の亀井郁夫副代表も原告や被爆者と面談し、訴訟の政治解決にむけての協力を約束。
 東友会などから連日送った国会議員へのファックスニュースを読んだ民主党の小宮山洋子衆院議員も26日に東京の原告などと面談。協力を約束しました。

長机を囲んで座り話をする議員と要請参加者。
公明党の山口那津男参院議員と。
議員と並ぶ要請参加者。参加者の一人と議員が一緒に紙を持って示している。
民主党の小宮山洋子衆院議員と。

厚労省前で連日座り込み 国会周辺では多彩な行動も

 東京高裁判決を控えた5月26日から、東京の原告と被爆者を中心にした連続座り込みがはじまりました。26日の厚生労働省前の日比谷公園でのテント開きは、核実験を強行した北朝鮮の暴挙を糾弾した山本英典原告団長のあいさつからはじり、歌手の横井久美子さんがギターの弾き語りとすばらしい歌声を披露。その後、東友会の飯田マリ子会長や東京の原告を先頭にした請願パレードをおこないました。この日、パレードを待ち受ける衆議院や参議院の議員面会所の前には、自民党をはじめ各党ののぼりや立て看板が林立。出迎えた議員と参加者はしっかりと手を握りあっていました。
 テントでの座り込みは、2日目の27日、東京高裁判決の28日、厚労省側が大臣面談を「来週中に」と約束した29日までつづき、東友会と首都圏の被爆者、弁護団が参加。各党の国会議員も応援にかけつけました。
 判決のあった 5月28日には、星陵会館で全国集会も開かれました。6月1日から5日には、首相官邸前と厚労省前行動を展開。厚労省が大臣との面会の約束を反故にしたため、被爆者側は6月9日から第2次連続座り込みを敢行しました。
 しかし第2次座り込み開始直前に舛添要一厚労大臣が大阪高裁判決につづき東京高裁判決についても上告の断念を発表しました。
 9日から12日までの4日間つづいた座り込みにも東友会は積極的に参加。12日には、総理・厚労大臣に政治決断を求める「緊急署名」5万7000人分を厚労省に提出し、訴訟の一刻も早い全面解決を要請しました。
 5月15日から6月12日まで約1カ月間つづいた「にんげんをかえせ!」大行動には、東友会からのべ651人が参加しました。

5亡くなった集団訴訟原告の遺影を掲げて国会へ行進する被爆者たち。
死没者の無念を胸に請願パレード
厚生労働省向かい、日比谷公園に座り込み行動のために建てたテントで、遺影を掲げて座る被爆者たち。ギターで弾き語りする横井久美子さんも。
座り込み行動の初日、遺影を掲げる原告たち
厚生労働省前、「原爆症認定集団訴訟の勝利を!」の横断幕を掲げて座り込む被爆者たち。
東友会の被爆者も連日参加
星陵会館での全国集会、舞台上に集まった人びとの写真。東京原告団も遺影を持って舞台に上がっている。
星陵会館では全国集会も
厚生労働省内、被爆者から署名を受け取る職員。受け渡される分厚い束の他に、署名が詰められた箱が並んでいる。
全面解決を求める署名を提出
首相官邸前、「厚労省は18連敗」「麻生首相は決断を!」の横断幕を掲げて行動する被爆者たち。
首相官邸前でも行動

厚生労働大臣が原告と面会 しかし全面解決には至らず

 6月9日、東京高裁判決への上告断念を発表した舛添要一厚生労働大臣は、これまでの発言をひるがえして、急きょ原告と面談すると連絡してきました。
 大臣との面談には東友会から山本英典原告団長、第1次原告団の中山勇榮さんと西本治子さん、小西アカネさんの裁判を引き継いだ田﨑アイ子さんが参加しました。
 20分ほどの面談で大臣は、「状況は良くわかっている。河村官房長官と話し合って、麻生総理にご決断を頂くための作業をすぐにはじめたい。18回続けて国が負け続けてきた司法の判断の重みを政治家として重く受け止めなければならない。6年間、訴訟で大変苦労してこの問題に世間の耳目を集めた皆さまの努力ということにも十分勘案しないといけない。国民に対する説明をきっちりしていきたい」と語りました。

机を囲んで座る、大臣らと原告ら。
舛添厚労大臣(左端)に訴える原告