被爆者相談所および法人事務所
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あずま数男かずお原爆裁判 第15回口頭弁論
致死量でないと肝障害起きない? 国側証人をきびしく尋問

 あずま数男かずお原爆裁判の第15回口頭弁論が、2002年7月10日午後1時半から、東京地裁103号法廷でおこなわれ、80人が傍聴しました。
 この日の証人は、国側がよんだ戸田剛太郎・東京慈恵会医大教授で、肝臓病の専門医師ということでした。
 国側の質問は、「放射線の肝臓への影響は一過性で、慢性肝炎に原爆放射線は関係ない」と、戸田証人にいわせるものでした。
 これに対し弁護団は、戸田証人が、「肝臓に影響を与える放射線量は1000ラドとされている」とのべていることを重視。
 「放射線影響研究所の文書では、被曝線量800ラドで100%死亡とある。1000ラドでは肝機能障害どころか、人間は死んでしまうのではないか」と質問しました。
 戸田証人は「私が調査したものではない」といいわけしながら、返答の言葉を失う場面もあり、傍聴者の失笑をよんでいました。

戸田剛太郎氏の証言要旨

国側代理人 B型肝炎とC型肝炎の違いは。
戸田証人 C型はウイルスで起きる肝炎。B型は激烈な症状を起こす。C型には激烈症状がなく70~80%が慢性化する。

国側 放射線によって起きることはあるか。
戸田 ない。放射線によるものは一過性だ。

国側 被爆後何十年も経って肝静脈の閉塞が起きることあるか。
戸田 考えられない。

国側 ラジカルで慢性肝炎が起きることあるか。
戸田 ラジカルは短命ですぐ消える。持続的な要因にはなりえない。

国側 原爆放射線で免疫機能が低下したといえるか。
戸田 免疫機能が低下したからといってC型肝炎にはならない。

国側 原告の肝炎が放射線に関係するものでないといえるか。
戸田 いえる。

内藤雅義弁護士 証人は、厚生労働省の被爆者医療分科会の臨時委員をしているのか。
戸田 分科会にはできるだけ出席して、肝臓に限らずすべての事例を見ている。

内藤 肝臓に影響を与える放射線は1000ラドと意見書に書いているが、放射線影響研究所の文書では800ラドで100%致死とある。これについてはどう思うか。
戸田 私が調査したわけではない。

内藤 生きているということは、10グレイ(1000ラド)を浴びていないということではないのか。
戸田 肝臓への影響は10グレイを超えないとない。

内藤 ラジカルが発生したとき、肝臓への影響は。
戸田 ラジカルは血管に影響を与えるが、肝臓に影響するわけではない。

裁判所 医療分科会のなかで、C型について議論されているというが、どんな議論がなされているのか。
戸田 被爆者救済だから認めていいのではないかという説と、医学的見地からきちんとやるべきだ、国民の税金を使うのだからという説がある。