東数男原爆裁判 第17回口頭弁論
2つの意見書を提出
97人傍聴、署名提出7万に
肝機能障害(C型肝炎)を原爆症と認定することを求めて裁判中の東原爆裁判第17回口頭弁論が、2002年12月18日、東京地裁103号法廷で開かれ、97人が傍聴しました。弁論に先立ち、「公正判決を求める署名」5000人が提出され、累計7万人を超えました。
弁論では、弁護団側から2つの意見書が出されました。1つは、沢田昭二名古屋大名誉教授のもので、もう1つは、斉藤紀広島・福島生協病院長のものです。
弁論後、弁護士会館で「東原爆裁判で何が明らかになったか 第17回口頭弁論のつどい」があり95人が参加。「東原爆裁判の争点と経過について」内藤雅義弁護士が講演。東京地婦連の田中里子さんらが発言しました。
星意見書を真っ向批判:沢田氏
戸田証言に合理性なし:斎藤氏
沢田昭二・名古屋大学名誉教授が提出した意見書は、国側が提出した「星正治・広島大教授の意見書」に反論するものです。
このなかで沢田名誉教授は、星教授が「DS86には問題がない」と述べていることについて、これまで星教授が書いてきた論文とまったく違っていることについてふれ、「事実に反し、あるいは不正確に書かざるをえなくなったのは、どんな理由があったにしても星氏の研究者としての資質を問われかねない問題として残念に思う」と述べています。
斉藤医師の意見書は、国側証人として証言した戸田剛太郎慈恵会医大教授の証言と意見書を批判するものです。
斉藤医師は、被曝放射線量が10グレイ以上でないと肝機能障害がおきないという戸田証言を問題にします。証人尋問の際、弁護団から、「10グレイの放射線を浴びたときの死亡率はどれくらいか」と聞かれて「わかりません」と答え、書証を見せられて「致死的というのは8グレイ以上となっていますね」とはじめて知った経過を指摘。
戸田意見書については「正確さを欠く単純かであり、実態を実証的に把握できない」とし、結論として「戸田証言・論文からは、慢性肝炎の発症に放射線の影響を否定する合理性はうかがえない」とのべています。