被爆者相談所および法人事務所
〒113-0034 文京区湯島2-4-4平和と労働センター6階
電話 03-5842-5655 ファックス 03-5842-5653
相談電話受付時間
平日 午前10時から午後5時、土曜 午前10時から午後3時

原爆症認定集団訴訟 長崎第2陣訴訟 長崎地裁判決についての声明

2010年(平成22年)7月20日

  • 原爆症認定集団訴訟全国原告団
  • 原爆症認定集団訴訟全国弁護団
  • 日本原水爆被害者団体協議会
  • 原爆症認定集団訴訟を支援する全国ネットワーク

 本日、長崎地方裁判所は、長崎の被爆者18名が2006年6月提訴以来原爆症認定を求めて闘ってきた長崎第2陣訴訟において、原告6名のうち2名の請求を認容し、4名について請求を棄却する判決を言い渡した。
 本件訴訟は、全国の被爆者306名が、全国17の裁判所で2003年4月以来共同して闘ってきた裁判の一つである。この集団訴訟の提起以来、国の原爆症認定に関する基本的考え方の誤りは各地の裁判所において徹底的に糾弾されつづけ、我々は実に25回連続の勝訴判決を獲得してきた。個々の原告についての放射線起因性の判断についても、厚生労働省の認定基準から大きく踏みだす画期的な判決が続々と下されていた。これらの司法判断により、厚生労働省も2回にわたる認定基準の見直しを図らざるを得なくなり、更に2009年8月6日の広島合意により集団訴訟の全面的解決が図られることとなった。
 今回の長崎判決も、旧審査の方針に対して厳しく批判しており、その点ではこれまでの一連の判決を踏襲するものである。
 しかしながら、各論においては(1)従来から原爆症と認定されていた熱傷瘢痕についてその起因性を否定し、(2)4.8キロのがんについて遠距離であるとして起因性を否定し、(3)被爆の事実について被爆者の証言を軽視する判断がされている。これらの点で、本判決は被爆者救済へ向けての大きな潮流に逆行するものであり、かつ被爆の実相を理解していないものと言わざるを得ず、甚だ遺憾である。
 現在約6000名に及ぶと言われている認定処分待ちの被爆者に関し、厚生労働省は裁判の水準を無視し、次々と認定申請却下処分により被爆者を切り捨てている。また、認定基準には、積極認定疾病の定義と矛盾する「放射線起因性のある」との文言が、心疾患や肝障害、白内障に加えられている。我々はこの状況を無視することはできない。厚生労働省に対し厳重な抗議を申し入れるとともに、今後とも認定基準の再々改訂、被爆者援護法の改正を含む被爆者救済のため全力を尽くす所存である。

以上