原爆症認定集団訴訟 東京第3次訴訟 原告が被爆体験を陳述
弁護団が早期救済を要求
東京の原爆症認定集団訴訟の第3次(原告24人、8人認定、未認定16人)の第1回口頭弁論が、2010年7月13日午後、東京地裁522号法廷で開かれ、57人が傍聴しました。担当裁判長は、第2次訴訟で審理と判決を担当した同じ人。そこで、髙橋右京弁護士が冒頭陳述に立ち、「被告・国側の主張は、(これまでのくり返しで)審理をいたずらに長期化させ、被爆者の早期救済を阻むもの」と批判。被爆の実態に沿った迅速な審理と一日も早い判決を要請しました。つづいて安原幸彦弁護士も、「司法判断を軽視する厚生労働省の認定実務を明快に裁いてほしい」と陳述しました。
本人尋問では、山﨑恵美子さんが、広島・西観音町にいた叔母と従妹の安否を求めて8日に西条市から入市し被爆者の救護に当たったこと、このあと肺結核になり片肺を全摘、C型肝炎にもなって慢性肝炎で苦しんでいる生活を陳述しました。つづいて神戸美和子さん(町田市在住)が、広島・東雲町で被爆し、ガラスの破片を大量に浴び、3週間後に脱毛や紫斑があったこと、1992(平成4)年から甲状腺機能亢進症で苦しんでいると証言しました。厚生労働省側は、縁側でカルタ遊びをしていたという神戸さんに、幼稚な質問を執拗にくり返し、傍聴者の失笑をかっていました。
次回の本人尋問は、8月30日午後1時から、石田順子、頼金昭子、中山鈴子の各氏に対して行われる予定です。
原告氏名 | 申請病名 | 被爆状況 |
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頼金 昭子 | 肺ガン | 広島入市 8月16日 |
中山 鈴子 | 急性心筋梗塞 | 長崎直爆 4.1キロメートル |
井上 浄 | 前立腺ガン | 広島入市 8月20日 |
栗原 澄子 | 陳旧性心筋梗塞 | 長崎直爆 2.4キロメートル |
高島 能仁 | 陳旧性心筋梗塞 | 広島直爆 2.0キロメートル |
山崎 恵美子 | 肝機能障害(C型) | 広島入市 8月8日 |
森 繁喜 | 脳梗塞 | 長崎直爆 5.4キロメートル |
神戸 美和子 | 状腺機能亢進症 | 広島直爆 4.0キロメートル |
小林 サツキ | 脳梗塞 | 長崎直爆 2.4キロメートル |
畑谷 由江 | 脳梗塞後遺症・狭心症 | 広島直爆 1.5キロメートル |
石田 順子 | 狭心症 | 広島直爆 2.0キロメートル |
濱本 和子 | 脳梗塞 | 広島入市 8月9日 |
田村 正夫 | 胸部大動脈瘤 | 長崎直爆 2.3キロメートル |
宮田 知都子 | 脳梗塞 | 広島直爆 2.2キロメートル |
佐々木 正己 | 悪性リンパ腫 | 長崎入市 8月18日 |
塩田 喜久雄 | 脳梗塞 | 長崎直爆 3.5キロメートル |
注:ここに紹介したのは、第3次の原告24人のうち、まだ認定されていない16人の原告のみなさんです。