原爆症認定近畿第二次集団訴訟大阪地裁判決についての声明
2008年7月18日
- 原爆症認定近畿訴訟原告団
- 原爆症認定近畿訴訟近畿弁護団
- 原爆症認定集団訴訟全国弁護団連絡会
- 原爆症認定集団訴訟支援近畿ネットワーク
- 日本原水爆被害者団体協議会
1,(事実)
本日、大阪地方裁判所第2民事部(西川知一郎裁判長)は、原爆症認定近畿第二次集団訴訟につき、厚生労働省が認定した6名に加え、新たに4名につき、国・厚生労働大臣の原爆症認定却下処分を取消し、原爆症として認定されるべきことを言い渡した。
2,(評価)
本判決は、原因確率を機械的に適用すべきでない述べて、厚生労働省の「審査の方針」を退け、これまでの集団訴訟9判決が示した司法判断をゆるぎないものとした。
今回の判決は、厚生労働省がこの4月から採用している「新しい審査の方針」が積極認定の対象としていない非がん疾患、とくに、
- 入市被爆者の心筋梗塞
- 肝硬変
- 肝がん
- 体内異物
- 血小板減少症
について、放射性降下物などによる外部及び内部被爆の可能性を考慮し、その放射線起因性を認めた。
これらのことは、厚生労働省が原爆症認定審査に用いてきた旧基準は勿論、本年4月から適用している新基準についても、被爆者援護法の理念にそぐわず、根本的に改められなければならないことを再度明らかにしたものである。
また、本判決は、救護被爆者の一人について請求を棄却したが、その理由として述べるところによれば、救護被曝による放射線の健康被害が発生することを認めたうえ、本件原告の個別疾患について起因性を認めるにまでは至らなかったものである。これは本件裁判で大きな争点となった救護被爆者について認定の道を開いたものと評価できる。
3,(最後に)
原爆症集団訴訟において、国は既に10連敗している。
争うのは「もうええかげんにせい!」と言いたい。
国・厚生労働大臣が今回の判決に従わず、控訴して争うことは、被爆者に対するさらなる加害行為である。残された時間の乏しい被爆者が、病身にむち打って、核兵器とは何か、人類と核兵器とは共存できないことを訴えている。
被爆者の訴えは世界人類のための訴えである。
唯一の被爆国を代表する政府は、本日の判決を真摯に受け止め、控訴を断念し、原告全員の認定を直ちに行うとともに、誤った「新しい審査の方針」を根本的に改め、被爆の実態を正しく反映した認定制度を確立し、被爆者集団訴訟の全面解決に今こそ踏み出し、日本が非核の国であることを示すべきである。
そのことを被爆者はもとより、全国民が求めている。