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原爆症認定集団訴訟 長崎判決についての声明

2008年(平成20年)6月23日

  • 日本原水爆被害者団体協議会
  • 原爆症認定集団訴訟全国原告団
  • 原爆症認定集団訴訟全国弁護団連絡会

 本日、長崎地方裁判所は、長崎県内在住の被爆者27名にかかる原爆症認定集団訴訟に関して、20名に対する厚生労働大臣の却下処分を取り消す、原告勝訴の判決を言い渡した。
 すでに、全国の6地方裁判所において、ほとんどの原告を原爆症と認める判決が繰り返され、仙台、大阪では、被爆者全員を原爆症と認める高等裁判所の判決が確定している。本日の長崎地方裁判所における判決も、これらと同様、DS86及びDS02を前提にしきい値論や原因確率論を適用し、残留放射線による被曝や内部被爆を無視した「審査の方針による扱いは、放射線起因性の審査基準としては不適切である」と断じた。
 また、判決は、「原告らの申請疾病において最も多く問題とされた慢性肝炎、肝障害等については、放射線起因性が認められる」と指摘し、肝炎等の全原告を原爆症と認めた。さらに、ガラス摘出後遺症、両変形性膝関節炎・足関節炎、狭心症といった「新しい審査の方針」でいわゆる積極認定の対象となっていない疾病についても幅広く放射線起因性を認めた。これは、本年4月から運用されている「新しい審査の方針」の抜本的な見直しを迫るものである。
 なお、却下処分取消請求が棄却された7名については、被曝線量や原爆放射線の影響に対する評価を誤ったものというほかない。
 被爆後63年を経て、被爆者の高齢化は進み、本件においても、勝訴原告を含む8名の原告が提訴後死亡した。原告・被爆者に残された時間は長くはない。
  国及び厚生労働大臣は、控訴を断念し、直ちにこれまでの誤った被爆者行政を改め、「新しい審査の方針」を抜本的に見直すとともに、現在、各地で行われている原爆症認定集団訴訟を直ちに全面的に解決すべきである。そして、被爆者の悲願である核兵器廃絶と国家補償の実現をはかるべきである。

以上