被爆者相談所および法人事務所
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原爆症認定集団訴訟 長崎地裁判決で9連勝

国は一括解決をはかれ 首相あての要請ハガキ行動を提起

 原爆症認定集団訴訟は、2008年6月23日の長崎判決でまたも被爆者側が勝利。国・厚生労働省側の9連敗となりました。
 5月28日の仙台高裁判決と30日の大阪高裁判決に、国は上告を断念し、原告側も上告しなかったため、確定しました。仙台高裁の2人の原告は、1982年の胃ガン切除と、1994年の膀胱ガン手術です。かなり前のガンについて要医療性を認めたものでした。大阪高裁では、貧血について「放射性物質を吸入したことによって造血機能障害が起きて貧血を発症させたとみるのが合理的かつ自然である」とし、甲状腺機能低下症についても、「放射性物質を体内に取り込んだ内部被爆の可能性があり、甲状腺機能低下をもたらすような他原因がみあたらない」としています。
 福田総理は、大阪判決直後の記者会見で、判決を重く見て、認定「範囲の拡大を考えなくてはならない」と発言。舛添厚生労働大臣も「高裁判決を重く見たい」といっています。仙台・大阪両高裁判決は厚生労働省の「新しい審査の方針」の枠組みを大きく乗り越え、今回の長崎地裁判決は、さらに枠組みを超えています。これ以上、司法の判断と厚生労働省の判断との食い違いをそのままにしていることは、行政不信にとどまらず政治不信を招きます。
 「原爆症認定集団訴訟を支援する全国ネットワーク」は、「福田総理はいまこそ政治決断を」と題するリーフレットを大量に発行。この中に福田総理へのハガキを刷り込んで、総理にハガキを集中しようと呼びかけています。
 福田総理は、8月6日、9日の広島・長崎の慰霊式典に参列することが決まっており、この日には、被爆者の前で「政治決断」を言明するように求める運動が、緊急に大切になっています。

「はだしのゲン」イラスト入りで「これ以上、被爆者を苦しめないで!」「福田総理は、今こそ政治決断を!」と訴えるリーフレット。
首相あての要請ハガキがついたリーフレット

肝機能障害も6人認定 長崎地裁判決の特徴

 判決は、27人の原告のうち20人を勝訴、7人を敗訴としました。勝訴原告のうち10人は、厚生労働省によって、判決前に原爆症と認定されています。このため厚生労働省が控訴したのは10人だけ。この中には、これまで厚生労働省がかたくなに認定を拒んできた肝機能障害の6人がいます。爆心地から500メートルの病院ベッドで被爆し、全身ガラスで切り傷を受けた女性、爆風で吹き飛ばされ、両足を複雑骨折した1.2キロの女性もいます。厚生労働省は、ガラスで全身傷つけられたり骨折したのは爆風のせいで、放射線は関係ないというのです。原爆被害を狭く、小さく、軽いものとしか見ようとしない厚生労働省の冷たい認定姿勢は、変わっていないのです。
 このため27人の原告は、国の控訴に対抗して全員が控訴。敗訴原告との連帯を維持するとともに、誤った認定基準で被爆者を苦しめている厚生労働省の国家賠償責任を徹底的に追及することにしています。

厚生労働省前で「福田首相は原告全員を救済すべきです」など書かれた横断幕を持つ人たち。
長崎地裁判決後、長崎から上京した原告たちとともに厚労省前で要請行動