原爆症認定集団訴訟高知上杉訴訟 厚生労働省の控訴に対する抗議声明
原爆症認定集団訴訟(高知訴訟)について、去る3月27日、高知地方裁判所民事部(小池明善裁判長)が言い渡した、原告勝訴判決に対して、本日、被告厚生労働大臣が控訴した。
高知地裁が下した判決は、2年8ヶ月に及んだ審理の経過を踏まえ、被告らに対して主張立証の機会を十分に与えた上で、「新しい審査の方針」で積極認定の範囲外とされている虚血性心疾患について原爆症と認めたものであった。これで、原爆症認定集団訴訟で国は16連敗、「新しい審査の方針」策定後だけでも9連敗 となった。
もはやDS86やしきい値論・原因確率論の機械的適用が不合理であるだけでなく、「新しい審査の方針」の不十分さも一連の判決で明らかになっている。
このように裁判が続いているなかで、原告のうち既に64名が亡くなっている。一方、昨年4月以降原爆症の認定申請者は7800人を超えており、多数の被爆者たちが救済を待っている。被爆者救済にはもう一刻の猶予もない。
今、厚生労働省がすべきことは、司法判断を真摯に受け止め、認定基準を被爆実態に即したものに改め、1日も早く訴訟を全面解決することである。
それにもかかわらず、この期に及んで先日の千葉訴訟東京高裁判決に対して上告し,さらに広島地裁判決に対して控訴を行ったことに続いて、高知地裁判決に対しても控訴を行ったことは、非人道的であり、犯罪的ですらある。
我々は、厚生労働省の不当極まる控訴に断固として抗議し、原爆症認定基準の抜本的改正、訴訟の全面解決、そして核兵器廃絶に向けて戦い続けることをここに表明する。
2009年4月7日
- 原爆症認定集団訴訟全国原告団
- 日本原水爆被害者団体協議会
- 原爆症認定集団訴訟弁護団全国連絡会
- 原爆症認定集団訴訟高知弁護団