原爆症認定集団訴訟 大阪地裁判決への厚生労働大臣の不当な控訴に抗議する
2006年5月22日
- 原爆症認定訴訟近畿原告団
- 原爆症認定訴訟近畿弁護団
- 原爆訴訟支援近畿連絡会
- 日本原水爆被害者団体協議会
- 原爆症認定集団訴訟全国弁護団連絡会
- 原爆症認定集団訴訟を支援する全国ネットワーク
厚生労働大臣は、5月12日に大阪地裁第2民事部が言い渡した判決(原爆症認定申請却下処分取消等請求事件)に対して、本日控訴した。
われわれは、全国26万余の被爆者とともに厚生労働省に断固抗議する。
大阪地裁判決は、全国13の裁判所で171名の原告が提起した原爆症認定集団訴訟の先駆け判決として、原因確率の機械的適用を排し、遠距離・入市被爆を認めてこなかった原爆症認定行政を厳しく批判するものであった。
厚生労働大臣は、これまで、長崎松谷原爆訴訟、京都小西原爆訴訟,東京東原爆訴訟の7判決で連続敗訴しており、今回の大阪地裁判決は8度目の敗訴である。判決を受けて各紙は「国は認定基準を改めよ」(朝日新聞)、「血の通った審査方針に改めよ」(毎日新聞)、「早急に基準の見直しを」(東京新聞)等の社説を掲げ、控訴の断念、被爆者の早期救済を国に訴えかけている。
にもかかわらず、厚生労働大臣は、原告らと会おうともせず、被爆者の切実な声に耳を傾けようともせず、控訴の暴挙に至ったもので、断じて許すことができない。
控訴は、被爆者の切なる願いを踏みにじり、被爆の苦しみをさらに増大させるものであるばかりか、核兵器廃絶を願う国民を裏切る行為である。
被爆者には時間がない。全国の原爆症認定集団訴訟原告のうち、すでに26名もの原告が死亡している。今、厚生労働大臣がなすべきことは、控訴ではなく、問題点を指摘された認定行政を根本的に改めることである。
私たちは、国が全ての原告を直ちに原爆症と認定し、認定制度の抜本的に改めるまで、あらゆる運動を展開し、断固として闘い続ける。
以上
不当な控訴に怒りの声
- 近畿原告・木村民子さん(68歳)
- 控訴されたことは非常に残念です。私たちは、最後までがんばります。
- 近畿原告・小高美代子さん(82歳)
- 5月12日に9名全員勝訴の判決を頂き、涙で喜び合ってわずか10日もたたないなかで、控訴されたとの知らせを受けて耳を疑いました。アメリカからも日本国からも61年という長い年月冷視されて、その中で日本の貧しさのなかで私達が一生懸命に頑張って栄えてきた力になったこと…もう82歳という年を迎えようとしている。このまま裁判を続けて一人一人日の目を見ないで死んでいくのを待たれるのかとかんぐりたくもなります。同じ日本人同士でしょう。特別無茶を言っているとは思いません。優しい心で接していただきたい。今の心境は以上ですが、といって、又ない力を振り絞って被爆者のために戦います。よろしくお願いいたします。
- 東京の原告・梅園義胤さん(66歳)のコメント
- 筋書きができていたんじゃないんですか。ムシャクシャしています。被爆者はみんな年をとっているんですから。生きているうちに、原爆症と認められるのは無理なんでしょうか。
- 東京の原告・田崎アイ子さん(71歳、2005年に逝去された原告・小西アカネさんの実妹)のコメント
- 私たちは厚生労働省の前で要請をしていたのに。その間に控訴していたんですか。言葉がありません。くやしい。国は、人間を、被爆者をどう思っているのでしょうか。私たちは負けられません。