被爆者相談所および法人事務所
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原爆症認定集団訴訟 北海道第2次訴訟 札幌地裁判決についての声明

2010年12月22日

  • 原爆症認定北海道訴訟原告団
  • 原爆症認定北海道訴訟弁護団
  • 北海道原爆訴訟支援連絡会
  1.  本日、札幌地方裁判所民事第2部(古久保正人裁判長)は、厚生労働大臣が原告浜田元治に対してなした原爆症認定却下処分を取消し、同人の心筋梗塞を原爆症と認定した。
     本判決は、爆心地から2.0キロメートルで被爆した心筋梗塞を原爆症と認定したもので、今まで厚生労働大臣は、心筋梗塞に関して1.4キロメートル以遠の被爆者の申請を全て却下している点から見て、画期的な内容である。
     また、本判決は、心筋梗塞の被爆起因性に関し、相当多量の放射線に被爆したと推認し、放射線感受性が強いといわれる若年時の被爆、既に認定されている腎細胞がんの発症などから、原爆による放射線被爆が原告の急性心筋梗塞の発症あるいはその進行の促進に寄与していることを考慮することが合理的であるとして、原爆症と認定していることも特筆すべきである。
  2.  さらに、高血圧症、高脂血症及び糖尿病の疾患の存在をもって、原告の急性心筋梗塞の放射線起因性を直ちに否定することは相当ではない、また、喫煙が原告の急性心筋梗塞発症の原因とする確たる証拠ないから、原告の喫煙をもって、直ちに急性心筋梗塞が放射線被爆の影響を否定することは相当ではないと判断したことも、高く評価すべきものである。
  3.  2009年8月6日、麻生太郎総理大臣(当時)と坪井直日本原水爆被害者団体協議会代表委員との間で取り交わされた合意により、原爆症認定集団訴訟の全面的な解決が図られ、今後、定期的な協議の場を通じて、新たな訴訟提起の必要のないよう解決を図ることが確認された。
     それにもかかわらず、厚生労働大臣は、それまで滞留していた被爆者の認定申請のうち約86%を却下するなど、上記合意の精神を踏みにじり、新たに被爆者の切り捨てを押し進めている。
  4.  厚生労働大臣は本日の判決を真摯に受け止めて、新たな被爆者の切り捨てを速やかに中止し、認定基準の再々改訂をはじめ被爆者救済のための原爆症認定行政を行うよう強く求める。

以上