被爆者相談所および法人事務所
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現「原爆症認定訴訟」の原告が全国原告団を結成

厚労省「検討会」が現状維持の報告書まとめることを危惧
「裁判しなくてもいいように」が目的のはずなのに…

 3年間もの歳月をかけた厚生労働省の原爆症認定制度の在り方検討会が、被爆の実態を無視した報告をまとめたことに関連して、被爆者と原告は、弁護団や支援者とともに、制度の抜本改善を求めて行動しました。

 2013年12月3日、集団訴訟後に原爆症認定訴訟を起こしている原告が、「ノーモア・ヒバクシャ訴訟全国原告団」を結成し、東京、名古屋、大阪、岡山、広島、長崎、熊本の7地裁で訴訟を起こした108人が原告団に参加することになりました。
 衆議院議員会館で開かれた「結成のつどい」では、愛須勝也弁護士(大阪)がこの間の裁判について報告。各地の裁判について交流した後、原告団長に山本英典氏(東友会執行理事)を選出しました。
つどいには、東京の原告と家族9人をはじめ14人の原告と弁護士、支援団体の代表52人が参加。12社の新聞、テレビ局が取材しました。

並べられた机に着席し報告を聞く参加者たち
全国原告団の結成のつどいに集まった原告被爆者、弁護士ら

日本被団協など原爆症認定問題で院内集会
被爆の実態に即した審査を改めて要求

 日本被団協と原爆症認定集団訴訟全国原告団、全国弁護団連絡会は12月3日、衆議院議員会館で「原爆症認定制度の抜本改正を求める院内集会」を開催、200人が参加しました。これは、翌4日に厚生労働省の「原爆症認定制度の在り方検討会」が、現状の認定審査を追認する最終報告をまとめようとすることに対して、政治の立場から被爆の実態に即した是正を求めて開かれたもの。
 集会では、いま裁判をたたかっている原告が、一日も早い訴訟の解決と裁判をしなくてもすむ認定制度への抜本改正を求める訴えをしたあと、自民、公明、民主、共産、維新、生活、未来7党の代表が激励のあいさつをおこないました。
 集会後、同じ会場で厚労省との交渉がおこなわれ、原爆被爆者援護対策室の榊原毅室長などが参加。交渉では、裁判所も判決で認めている心筋梗塞などに「しきい値」がないという専門家の研究成果を無視した審査をつづける厚労省への激しい怒りの声があがり、被爆者援護法の改正を求める発言がありました。

並べられた机に着席し報告を聞く参加者たち
院内集会は会場いっぱいに

自民党議員連との懇談
河村議連会長が「後退させてはならない」

 日本被団協と東友会の代表は12月はじめから、原爆症認定制度の抜本改善を求め、自民、公明、民主、共産の各党代表に要請をつづけてきました。
 この動きのなか、自民党の議員連盟との会合が12月13日早朝に自民党本部で開かれ、東友会から山本英典、家島昌志、村田未知子の各執行理事が参加しました。
 議員連盟の河村建夫会長などが、白内障をのぞく非ガン疾患は、直接被爆で2キロ以内、1キロ以内の翌日入市を認定するなどという自民党が厚労省に提示した「決議」の内容を説明しました。
被爆者側から「これでは被爆の実態を反映せず、裁判の判決とのギャップは埋まらない」「厚労省は基準を硬直的に使って却下している」などと指摘しました。
 河村会長は、「8月の式典の後、毎年この問題で注文をつけられるのは耐えられない思いだ。裁判を起こすことは意図するところではない。後退させてはならないと考えている。法改正も含めて、検討しよう」と回答しました。

テレビカメラも取材に入った自民党議員連との懇談。長方形に並べられた机に着席している人、周囲に立っている人もいる
発言する河村議連会長

厚労省と被爆者側の事務折衝
認定の基準で具体案はないの一点張り

 12月に厚労省が医療分科会に提案する原爆症認定の基準について、田村憲久厚労大臣が国会で約束した日本被団協などとの協議が12月12日、衆院議員会館で開かれました。
厚労省からは榊原毅室長などが参加しましたが、「基準の案はできていない」の一点張り。16日の医療分科会で決めるといいながら1時間の協議で、具体案はいっさい示されませんでした。

厚労省側数人が並んで座る机に対し直角に並べられた机に着席する参加者たち
事務折衝に参加した被爆者ら