厚労省 原爆症認定制度「検討会」 年内答申へ報告書の作成山場
核心部分では被爆の実態を軽く見る姿勢のまま
原爆症認定制度について検討をつづけている「原爆症認定制度の在り方検討会」の第24回会合が2013年10月29日、第25回会合が11月14日、厚生労働省会議室でおこなわれました。
安倍首相の「年内答申」の指示に応えて、厚生労働省は第24回検討会に「検討会報告の骨子案」を出しました。これには、「…という意見が多数」とか、判断するのが「適当」とか「適当でない」とか「望ましい」とか「必要」などの評価が記載してあり、検討会が一つひとつについて判断をしたかのような文書になっていました。
これには強い反対意見が出され、「骨子案」は再検討になりました。
25回検討会には、前回の文書を大幅に書き換えた「報告書案」が出されました。
「はじめに」では、援護法の前文を引用して原爆による犠牲のひどさを表現したり、「むすび」には、「被爆者に寄り添う視点が何より大切」など耳ざわりのいい言葉が織り交ぜてありました。
しかし、肝心の「基本的考え方」と「各論」では、被爆者側委員が被爆者すべてに原爆症認定を求めているかのように受け取れる誤った文言や、「健康に影響を与えるような残留放射線量は確認されていない」など、「科学的知見」という言葉で被爆の実態を軽く見る従来どおりの姿勢が随所に盛り込まれていました。
このため田中煕巳委員(日本被団協)は、休憩を2度要求し、文書について冷静で正確な表現を検討する時間を要請しましたが受け入れられませんでした。
しかし、この日の会合では「報告書案」を決めることはできず、次回までに修正意見を出すことにして閉会しました。
次回は12月4日午後3時からです。