被爆者相談所および法人事務所
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厚労省の原爆症認定制度「検討会」 被爆者の実情を重視せよ

厚労省側委員:国の認定審査は科学的で正しい
被爆者側証人:原爆被害と被爆者の実情を重視せよ

 厚生労働省の「原爆症認定制度の在り方に関する検討会」が2011年6月27日と7月15日に開かれました。
 6月27日の第4回検討会では、日本被団協が推薦した齋藤紀医師と宮原哲朗弁護士が提言しました。集団訴訟全国弁護団連絡会事務局長の宮原氏は、検討会は国が集団訴訟に19回敗訴し謝罪したことを契機に設けられたこと、司法と行政の乖離の原因は、放射線被害は科学的に未解明な部分が多いことを国が無視し、国家補償的配慮で被爆者を救済するという被爆者援護法の趣旨をまったく理解していないためだと判決文や審査結果から説明。判決に従って被爆者援護をより充実させる方向で認定制度を改正すべきだと結びました。専門家の医師として、内部被曝の影響などを明らかにしてきた齋藤医師は、土壌以外の物質による汚染などからの内部被曝の危険性が明らかになっている研究成果などを紹介し、認定と却下の区分が不明確なままに分けられていることは、悲痛な体験をした被爆者の救援の仕方として理不尽であり、これが被爆者の人間としての自尊心、被爆者同士の連帯性をゆがめてきたと発言。最晩年を迎えている被爆者に対して積極救済の視点を確立すべきであると強調しました。
 第5回検討会は、厚労省の担当者から、(1)審査の現状、(2)司法判断の状況、(3)手当の趣旨と変遷などについて説明を受けた後、委員からの質疑がありました。弁護士として検討会に参加している委員が「裁判で勝訴したのはわずか2、300人で国が認定しているのは数千人ではないか」と検討会設置の意味をまったく理解していない質問を出したり、厚労省の審査は「最新の科学的知見に基づき、客観的に認定」、裁判は「各事案の個別事情を重視して判断」と記した厚労省の説明資料に抗議する委員がいるなど、この検討会の「今後」に不安を抱かせる内容になりました。
 この2回の検討会には東友会の代表のべ29人が傍聴しました。

並べられた椅子に座って議論を聞く人たち。
傍聴する被爆者と支援者

解説 積極認定――何のために? 埋まらない「行政の審査」と「司法の判断」

 「これでも、積極認定?」と国の姿勢がますます信頼できなくなる原爆症認定審査がつづいています。
 国は3.5キロ以内の直接被爆者などがガンにかかった場合は、「積極的に認定する」としていますが、今回、白血病の前ガン状態と言われる「骨髄異形成症候群」で輸血の治療がつづいている100時間以内の入市被爆者を却下しました。却下理由は「資料不足」。この申請に対しては一度厚労省から照会が来ましたが、主治医が出した検査結果報告書では「悪性」と認められないためということです。
 さらに7歳のとき1.7キロで被爆し、激しい急性症状で生死の境をさまよった被爆者の成長障害も却下しました。主治医は意見書に「四肢の骨の成長障害を認める。右下肢の変型は特に著しく短縮している」と記載しています。
 国が使用している「新しい審査の方針」には「審査に当たっては、被爆者援護法の精神に則り、より被爆者救済の立場に立ち、(中略)、被爆の実態に一層即したものにするため(中略)これを行うものとする」と明記されています。
 2009年8月に日本被団協と総理・自民党総裁が取り交わした「確認書」には、「今後、訴訟の場で争う必要のないよう、この定期協議の場を通じて解決を図る」と明記されていますが、厚生労働大臣との定期協議は翌2010年1月に第1回が開催されただけにとどまっています。