「積極認定」のガンも却下 「新しい審査の方針」の新たな矛盾点
東友会を通じて申請された原爆症認定申請について、2010年10月19日から11月16日に出された審査結果のうち、5件の却下事例から「新しい審査の方針」の「積極認定」とされるガンなどの悪性腫瘍でも、大きな矛盾と問題点が見えてきました。
第1は、基準とされる「3.5キロ直接被爆」より遠距離で被爆した後に、期限の「100時間以内に入市」した証明ができないために却下された事例です。腎臓ガンを却下された事例がこの例です。知人に頼まれて翌日に一緒に入市したという事実を「100時間以内入市」という基準が示される前から書類などに書いていましたが、政府はそれを認めませんでした。被爆者手帳の申請を受ける都道府県は最近まで、直接被爆を入市被爆より重視してきたため、手帳申請書には「直接に被爆した証明ができれば入市の事実は書かなくてもよい」という対応をしてきました。このため、手帳申請の当時なら入市を証明できても、65年が過ぎた現在は証明できる人が亡くなっていて証人がおらず困っているという相談が増えています。
第2は、「悪性腫瘍」だと認めるために要求される「病理組織検査結果報告書」などが出せないために「資料不足」という理由で却下された乳ガンの事例です。一般的にカルテの保存は5年といわれています。この事例は26年前に乳ガンの手術をした後に受けた放射線治療のために皮膚がただれて、現在も治療が必要なために「術後潰瘍」という病名で申請しました。しかし国はあくまで乳ガンの証明を出すようにこだわり、乳房を全部切除した跡の胸のケロイドまで写真を撮って提出しましたが、却下されたものです。