被爆者相談所および法人事務所
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原爆症認定審査の処分動向公表 基準緩和も依然厳しい審査結果

 厚生労働省は2010年9月21日、原爆症認定申請についての処分状況を、2010年4月から6月の3ヶ月分について開示。厚労省が、「積極認定」の対象とされたガン以外の病名については「積極認定」とされる被爆状況より大幅に狭い新しい枠をつくっている実態がわかりました。「新しい審査の方針」にある「放射線起因性が認められる」という文言を悪用していると言わざるを得ない状態です。この文言のないガンや白血病についても、指定の被爆距離や入市日をわずかに超えただけで却下していることもわかりました。

「積極認定」のガンでも認定結果に激しいばらつき

 厚労省が今回発表した処分総数は1611件で、認定は248件、却下は1363件でした。却下処分の理由として原爆放射線との因果関係がないもの(「起因性なし」)、申請した病気についての治療や経過観察の必要がないもの(「要医療性なし」)と両者ともないもの、の3つに分けています。
 処分結果を見ると、ガンの場合、「積極認定」とされた3.5キロ直接被爆を大幅に超えた9キロ直爆や入市100時間以後となる5日目の人が認定されている一方、基準をわずかに超えた人が「起因性なし」で却下されています(図表:事例A参照)。
 この点について厚労省の担当官は、「遠距離の人は後から期限内に入市していたことがわかった」などと言っています。ガンでの申請458件のうち認定は150件にとどまっています。
 東京でも、指定の距離をわずか100メートル超えた3.6キロで被爆した練馬区の被爆者が申請した胃ガンと国分寺の被爆者の前立腺ガンが5月と6月に却下されました。

ガン以外はさらに苛酷 国は「確認書」の趣旨いかせ

 「積極認定」の対象となった「非ガン疾患」の審査はさらに苛酷です。心筋梗塞(図表:事例B参照)は1.5キロ、甲状腺機能低下症は1.8キロ、肝炎は1キロ程度以内の被爆距離だけが認定され、白内障(図表:事例C参照)にいたっては、申請273件のうち認定はわずか4件。東京の認定事例はゼロ。長崎の0.6キロで被爆した狛江市の被爆者も却下されました。
 厚労省の説明では、「放射線白内障の特徴がない」とか、喫煙や肥満、生活習慣病がある、糖尿病があるなどといっていますが、「却下通知」には、あいかわらず、ひとことも具体的な理由は記入されていません。
 2009年、麻生首相(当時)と日本被団協の間で取り交わされた「確認書」には、「訴訟の場で争う必要のないよう協議する」と明記されています。しかし厚労省は、1月14日に長妻厚生労働大臣(当時)が約束した解決のための協議をしないまま、却下をつづけています。

 以下の図表は、厚生労働省が出した2010年4月から6月期の認定結果をもとに集団訴訟弁護団が集計した数値データを使い、「東友」用に見やすく整理したものです。

【図表A】「悪性腫瘍」の処分結果
【図表B】「心筋梗塞・狭心症」の処分結果【図表C】「白内障」の処分結果