原爆症認定集団訴訟 東京第2次訴訟勝訴
国が一貫して拒否した病名で認定 生活習慣を理由に却下する問題も
2010年3月30日、原爆症認定集団訴訟の東京第2次訴訟の判決が東京地裁(八木一洋裁判長)で言い渡され、「新しい審査の方針」でも認定されていなかった原告12人のうち10人が勝訴しました。2009年8月の「確認書」によって、勝訴した10人はすべて原爆症と認定されます。
東京地裁は、政府が一貫して放射線起因性がないとした広島2キロメートル直爆の心筋梗塞をはじめ、入市被爆者の脳梗塞、バセドウ病も原爆症と認定。しかし「積極認定」の被爆状況にある原告の心筋梗塞を、喫煙歴などの生活習慣を過大にとりあげて却下するなどの問題も残しました。
最近の事例をみると、判決で認定された原告より近距離で被爆した広島1.7キロメートル直爆、長崎2キロメートル直爆の心筋梗塞など、新基準で「積極的に認定する」とされた条件の申請が次ぎつぎ却下されています。東友会は、この判決を生かして新基準の病名につけられている「放射線起因性」を削除させるよう、ひきつづき要請していくことにしています。
勝訴原告の病名と被爆状況一覧
- 大腸ガン 積極認定外の被爆状況 5日後入市・長崎
- 大腸ガン 積極認定内・要医療性・手術から6年再発なし
- 前立腺ガン 積極認定・広島翌日入市・入市事実の記憶喪失
- バセドウ病 積極認定外の病名 広島3日後入市
- 甲状腺機能亢進症 積極認定外の病名 直爆1.2キロメートル・広島
- 甲状腺機能亢進症 積極認定外の病名 直爆2.0キロメートル・広島
- 甲状腺機能低下症 積極認定外の病名 アイソトープ治療後の甲状腺機能低下 直爆1.5キロメートル・長崎
- 心筋梗塞・狭心症 心筋梗塞・狭心症の放射線起因性 直爆2.0キロメートル・広島
- 脳梗塞 積極認定外の病名 直爆2.5キロメートル・長崎
- 脳梗塞 積極認定外の病名 広島翌日入市
生きているうちに原爆の問題を解決したい 判決後の報告集会で確認し合う
原告・家族や支援の被爆者など130人が、判決の傍聴、法廷前でのアピール、報告集会に参加しました。中川重徳弁護団事務局長などが判決の内容を報告。提訴から2年半にわたる支援に原告や遺族から感謝のことばが述べられました。
敗訴した井上惣左衛門さんも報告集会でマイクを握り、「私自身としては残念ですが、生きている間にこの問題を解決したい。私もがんばります。いっしょにがんばっていこうではありませんか」と発言。参加者からは感動と励ましの大きな拍手が沸き上がりました。