「原爆症認定制度の改善は法改正で」厚労省が第1回「定期協議」で
厚生労働大臣との定期協議で意向を明らかに
原爆症認定集団訴訟の解決のための厚生労働省大臣と日本被団協、原告団、弁護団との第1回定期協議が2010年1月14日午後、85人の傍聴者(うち東友会からは53人)、20数人のマスコミが見守るなか厚生労働省省議室で開かれました。
厚生労働省からは、長妻昭大臣、長浜博行副大臣、山井和則政務官、健康局長ら6氏。被爆者側からは、日本被団協の藤平典代表委員(東友会副会長)、田中煕巳事務局長、飯田マリ子東友会会長ら5氏、原告団からは山本英典全国原告団長(東友会副会長)ら4氏、弁護団からは全国弁護団連絡会の安原幸彦副団長、宮原哲朗事務局長ら6氏が協議に臨みました。
会ではまず、原爆被害の実態について2人の原告代表が発言。原告側から「原爆症認定に関する統一要求書」が提出されました。
要求内容は、(1)定期協議は7月に開催すること、(2)原爆症認定審査の過程を公開すること、(3)審査の方針を裁判所の判決を尊重して改定すること、(4)8000件も滞留している原爆症認定申請を解決するための計画を立て、それを公開すること、(5)原爆症認定申請審査に当たっている医療分科会の委員を交代させること、(6)認定申請者に対する過酷で過剰な資料要求を改めること、(7)認定制度を改定すること、(8)認定基準の改定をすすめる作業部会を設置すること、などでした。
これにたいし大臣は、(1)定期協議は10月にしたい、(2)認定基準をこれ以上緩和するには法改正しかない、(3)認定審査を迅速におこなうため委員も事務局も増やした。審査処理計画を早期に示したい、(4)審査は法律の制約のもとでしている、委員の交代より法律の改正が先決、(5)資料提出要請は医療機関に依頼する手法で取り組みたい、(6)認定制度の改定は法改正が本筋、(7)被爆者への対応は山井政務官が窓口になる、などと回答しました。
これにたいして、飯田会長など被爆者側の7氏から意見が出され、これに大臣が答えるなどの意見交換をおこなって協議を終えました。
全体を通じて、厚生労働省側は、現行法のもとでの認定制度改善より、法律改定の意向でいることが明らかになり、今後に問題を残しました。