被爆者相談所および法人事務所
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原爆症認定問題特集 「新しい審査の方針」以降の実情

審査方針は「拡大」したが認定実態は問題あり

 2008年4月から厚生労働省は、「新しい審査の方針」を使った原爆症認定審査を開始し、2009年12月末までに5055件(全国)を認定したと報告しています。総数として認定件数が広がった一方、東友会が対応した事例から、厚労省の審査の問題点も次第に明らかになっています。

東京都の申請のうち7割を東友会が対応

 東京都からの申請件数と認定・却下の件数の実態は、原爆症認定集団訴訟が始まった2003年4月からの累計としてグラフにまとめたとおりです。このうち東友会が対応した事例は、東京都から厚労省に提出された申請の498件のうち73%の364件にのぼり、認定されたものは都全体の245件のうち91%の223件が認定されています。

以下は、読み上げブラウザ用にグラフを表になおしたものです。
東友会が扱った原爆症認定申請の実績
(2003年4月から2009年11月までの約6年8か月分)
申請件数 認定件数 却下件数
東京都全体 うち東友会扱い 東京都全体 うち東友会扱い 東京都全体 うち東友会扱い
498件 364件(73.1%) 245件 223件(91.0%) 110件 58件(52.7%)

審査滞留の一因に過剰な「照会」

 2010年1月14日の「協議」で長妻昭厚生労働大臣は、7800件(全国)の審査が滞留していると発言しました。この滞留の一因に、厚労省からの過剰な照会や、単純な見落としなどが含まれていることも、次のような実態から明らかになっています。
 2009年9月から12月に26件の審査結果が届きました。この中には、つぎのような典型事例があります。
 (1)手術前に胃内視鏡検査でガン細胞を取り出して調べた検査結果報告書や画像のデータを提出しているのに、手術記録や手術後のガン細胞の検査結果を要求するという事例。(2)申請から1年後に審査結果が待てずに白内障を手術した人に、さらにその2年後に手術で摘出した角膜の検査を要求する事例。(3)申請病名の記入や医師が記入した治療状況を見落としするなど、初歩的なミスの事例。(4)3、4回もの照会がつづき、申請者や家族が主治医に資料提出を依頼するため信頼関係に問題がおきた事例。(5)申請者が亡くなった後に照会が届き、遺族が取り下げを希望するという事例―などです。

疾病拡大が生かされない「積極認定」

 厚労省は「積極認定」に入らないものでも「総合認定」という枠をつくり審査すると明言していましたが、実際には心筋梗塞や白内障の病名では「積極認定」の被爆状況にある人を却下していること、「積極認定」の範囲を超えた認定は、現状では裁判に勝利した原告だけという実態も表で一目瞭然です。甲状腺機能低下症では、「新しい審査の方針」が使われる前に認定されていた2キロ直接被爆の事例以後、認定例はまだ出ていません。

認定審査結果 東友会対応分 2008年4月1日から2010年12月31日
東京都原爆被害者団体協議会(東友会)
申請疾病 「積極認定」 「積極認定」以外 合計
3.5キロ以内直爆 100時間以内入市
認定 却下 認定 却下 認定 却下 認定 却下
悪性腫瘍(固形ガンなど) 121 0 35 0 4 1 160 1
白血病 2 0 4 0 0 0 6 0
副甲状腺機能亢進症 0 0 0 0 0 0 0 0
放射線白内障 0 4 0 0 0 0 0 4
起因性ある心筋梗塞 3 2 0 0 0 0 3 2
起因性ある甲状腺機能低下症 5 0 1 0 0 0 6 0
ガラス片手術後瘢痕 1 0 0 0 0 0 1 0
132 6 40 0 4 1 176 7

【注】「悪性腫瘍」で「積極認定」の被爆状況の範囲を超えた認定事例4件、甲状腺機能障害で2.1キロを超えた認定事例1件、ガラス片摘出手術後の認定事例1件は、いずれも東京高裁判決が確定した原爆症認定集団訴訟第1次原告。