被爆者相談所および法人事務所
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原爆症認定集団訴訟 広島地裁でも全面勝訴 「控訴するな」と連日行動

原告41人全員を原爆症と認める 大阪判決につづく画期的勝利

 被爆61年目を迎えようとする2006年8月4日、広島城の東隣にある広島地方裁判所の前に「全面勝訴」と大書された垂れ幕が掲げられました。被爆地・広島の裁判所が、原爆症認定集団訴訟41人の原告全員を、原爆症と認めた判決を出したのです。満面の笑みとともに両手を挙げる人、拍手…。握手攻めにあう原告や弁護士、裁判所前に集まった人びとをテレビ局や新聞社のカメラが追いかけます。
 猛暑のなか、広島弁護士会で開かれた報告集会は150人の参加者で超満員。車いすに座る原告や、原告の遺影を胸に涙をぬぐう遺族を前に、「DS86が比較的正確に算出できるのは初期放射線量」「国の審査の方針は一応の最低限度の参考値」「直接被爆以外の残留放射線による被曝の影響は、別途慎重に検討すべき」という判決の要旨が弁護団から報告されると、会場内は割れんばかりの拍手に包まれました。

笑顔で「全面勝訴」の文字を掲げる弁護士と、その周りで拍手したり両手を挙げたりして喜ぶ支援者たち。
勝訴判決を知らせる第一報に歓喜する支援者たち
「原爆症認定制度の抜本的改定を実現しよう」など書かれた横断幕を広げ、遺影を掲げ持って立つ原告ら。背景に広島市平和記念公園の慰霊碑、その奥に原爆ドームも見える。
判決後に広島慰霊碑前でアピールする原告・遺族、支援者たち

国は原爆被害の全容を見よ

 集会後、参加者は平和公園の慰霊碑に報告し、原爆ドームや福屋デパート前などで街頭宣伝。「放射性降下物や残留放射線が人間の身体を蝕むという当たり前のことを、なぜ国は認めないのか」と訴えました。
 翌5日午後、平和式典や原水爆禁止世界大会のために広島を訪れている人びとも参加して、中国新聞社ホールで開かれた報告集会「今こそ扉を開けよう」には500人が参加。判決内容の報告、原告の訴えとともに、東京の集団訴訟でもすばらしい歌声を聞かせてくれる横井久美子さんが、峠三吉の「にんげんをかえせ」を熱唱し、感動を呼びました。
 集会参加者は平和公園の周辺をデモ行進。東友会の長岡和幸事務局長は、「原爆症認定制度を抜本的改定を実現しよう」の横断幕をかかげて、デモの先頭を行進しました。

猛暑のなか「控訴するな」とダイ・インも
国・厚労省、非情にも8月11日に控訴

 広島地裁の勝訴判決を受けて、東京では「控訴を許すな」の要請行動が、東友会、「おりづるネット」、弁護団を中心に懸命に重ねられました。
 判決当日の4日午後4時半、厚生労働省前に「全員勝訴」の声が高らか響き渡り、勝利の声明が載ったビラが配られ、「被爆者をこれ以上苦しめるな」の唱和がくり返されました。
 広島からは原告、弁護士、支援者らが上京。厚生労働省前では、4、7、8、9、10、11日の連日、宣伝要請行動。ビラは日替わりで6種類、合計4600枚配布され、行動にはのべ500人が参加しました。
 7日は、衆参両院厚生労働委員全員に判決要旨と声明文を届けました。9日は台風をついて厚生労働省前でダイ・イン。10日はJR大塚や新宿駅前など4カ所で宣伝行動、夜には「広島判決報告集会」でした。
 しかし、厚生労働省は11日、非情にも控訴。原告団、弁護団、日本被団協など6団体は、声明を発表し抗議しました。

厚生労働省向かい、日比谷公園前の歩道で横になり、人間の骨格が描かれた大きい紙を紙をかぶる人たちと、横断幕を掲げて立つ人たち。
原爆被害への償いを国にアピールするダイ・イン