東友会相談員養成研修会 「原爆放射線の影響と『原爆症』認定問題」
沢田昭二名古屋大名誉教授が講演 「原爆症認定基準はごまかしの理論」
2002年度第3回の「東友会相談員養成研修会」が2002年12月21日午後、東友会のある平和と労働センターホールで開かれ、被爆者と東京原水協の関係者ら120人が参加しました。
この日の研修テーマは「原爆放射線の影響と『原爆症』認定問題」。講師は沢田昭二名古屋大学名誉教授でした。
体内に入った放射線量を無視 統計で個々の人の病気の立証は不可能
沢田講師は、冒頭「被爆者援護法」の最大の欠陥は、「放射線の影響の証明を被爆者に求めていること」だとし、統計では疾病の発症にあれこれいえるが、「個々人についての立証は不可能」と断言しました。
広島・長崎の原爆放射線量についても科学的には未解決で、残留放射線量や黒い雨、黒いすすの影響はほとんど考慮されていないし、体外からの線量は計算できるが、体内にはいった線量の計算は難しい、と問題点を指摘しました。
現在国が認定基準に使っている「原因確率」は、矛盾と統計学のごまかしでつくられたもので、科学者にさらなる研究を課している、原爆症認定の集団申請・訴訟は、原爆被害を科学的に解明するものでもあるとのべました。
中性子線量を過小評価 線量表示の単位も違う
講演のなかで沢田氏は、「原因確率」がごまかしの理論である例として3点あげています。(1)遠距離被爆者にたいする中性子線の被曝線量を過小評価しているDS86を適用していること、(2)人体への被曝線量を見る場合「シーベルト」という単位で計算すべきなのに、「グレイ」という単位を使っていること、(3)放射性降下物などによる体外および体内被曝は実質的に無視していること――です。これを大阪高裁で勝利した京都の高安さんがガンになったとして被曝線量を「シーベルト」で計算すると原因確率は51%から72%になる。松谷英子さんの場合1.7%になるが、これでも脱毛などの急性症状は説明がつかない、などと指摘しています。