被爆者相談所および法人事務所
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原爆症認定集団訴訟第3回検討会 行政転換求め一斉認定申請へ

 日本被団協は、原爆症認定申請を全国いっせいに2002年7月9日に都道府県知事にたいしておこなうことにしました。2002年5月9日に開かれた「原爆症認定集団提訴第3回検討会」で明らかにしたもので、申請が却下されたら集団提訴する予定です。
 原爆症の認定は大変きびしく、全国30万人近くの被爆者のうち2千数百人、0.8%しか認定されていません。2001年まではDS86を使った「内規」で、その後は原因確率という基準で被爆者をふるい分け、原爆被害の実態を狭く、小さく、軽く扱おうとしてきたからです。このため、長崎の松谷英子さんが認定を勝ちとるには12年、京都の高安さんは13年もかかかりました。このような長期裁判は、高齢化している被爆者にはもうできません。しかし多くの被爆者は、自分の生涯が狂わされ、病気で苦しめられているのは原爆のせいだと思っており、このことを国に認めさせ、償いをさせたいという気持ちでいっぱいです。
 こうした被爆者の思いを国民に知ってもらうには、というところから、「集団訴訟」という方法が浮かび上がってきました。被爆の原因、実態を総合的に実証することができ、原爆症認定基準の実態にそぐわない認定基準の不当さを追及し、被爆者個々人が原爆によってどんなに苦しんできたかを広い範囲で明らかにすることができます。
 裁判をするには、どんな症状の人を原告にするかの決定、申請に必要な診断書の作成、弁護団の編成、裁判経費の調達、支援者の組織づくりなど、解決すべき課題がたくさんあります。日本被団協、弁護団、医師団はこれらの難問にとり組みながら、また集団申請への国側の対応を見ながら、9月3日に第4回検討会を開くことにしています。

原爆症認定 すでに12人が東友会通じ申請

 東友会は、集団提訴を視野に入れて、ガンにかかった被爆者が原爆症認定申請を希望する場合、被爆状況にかかわらず申請を援助しています。2002年1月から5月20日までに東友会を通じて申請した被爆者は12人になりました。この中で、原因確率が10%を越えるのは1人だけです。東友会は、認定の難しさとともに裁判の重要性を訴えながら申請の援助をしています。急性症状がつよく出た人でガンが発見された人は、ぜひ連絡してほしいと東友会では呼びかけています。

原爆症認定基準の「原因確率」とは

 原爆症を認定する基準として厚生労働省がこれまで使っていたのはDS86という基準でした。アメリカのネバダ核実験場でおこなった核爆発実験のデータをもとに作ったものです。しかし被爆の実態と違うことが多く、最高裁も、この推定値を「機械的に適用することによっては、事実を十分に説明することができない」と判決しました。
 このため厚生労働省が、新しい基準としてつくったのが「原因確率」です。爆心地からの距離と被爆時の年齢で原爆放射線を浴びたと推定される線量をはじき出したものです。この確率が50%以上なら原爆症と認定しよう、10%以下なら切り捨てよう、10%から50%の間については個別に条件を調べて判断する――というのです。
 「原因確率」によれば、残留放射線は爆心地でも3日目にはゼロです。認定事例を見ると、これまで認定になった人でも、新基準では却下です。日本被団協は、「原因確率」は被爆の実態を反映していないと反論書を出していますが、厚生労働省は無視しています。