被爆者相談所および法人事務所
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厚生労働大臣との定期協議 答弁の声は小さく進展もなし

 原爆症認定集団訴訟全国原告団、同弁護団、日本被団協と厚生労働大臣との定期協議が、2024年1月29日に厚生労働省内の省議室で開かれました。
 今回は、武見敬三大臣が新任であるため事前のレクチャーが必要とのことで、通常国会開催の時期にずれ込みました。このため、国会審議の終了後の午後5時30分すぎの開催になりました。加えて厳寒期でもあることから、傍聴した被爆者は首都圏のみ。参加者も弁護士を含めてこれまでの3分の1以下となる30人程度でした。
 被爆者側は、日本被団協の田中煕巳・箕牧智之・田中重光の3人の代表委員が挨拶や被爆体験を証言。原爆症認定については、ノーモア訴訟全国弁護団の藤原精吾団長と東京弁護団の森孝博弁護士が、木戸季市日本被団協事務局長、濱住治郎事務局次長などが核兵器廃絶問題、被爆者と被爆二世の施策の充実を訴え、全国原告団の綿平敬三団長が、原告の実態を示し制度改善の緊急性を訴えました。
 しかし武見大臣は、後ろにいる事務方の指導を受けて小さな声で答弁するだけ。大臣の声が聞き取れない傍聴者が多く、途中でスピーカーの音量を上げてもらう場面もあり、内容もこれまでの答弁を一歩も出ませんでした。
 参加者からは、「『やってます』という厚労省のアリバイ作りじゃないのか」「こんな協議を続けて意味があるのか」という声もありました。
 この協議は2009年8月6日に当時の首相・自民党総裁と日本被団協が署名した「原爆症認定集団訴訟の終結に関する基本方針に係る確認書」の「4 厚生労働大臣と被団協・原告団・弁護団は定期協議の場を設け、今後、訴訟の場で争う必要のないよう、この定期協議の場を通じて解決を図る」に基づくもの。これまで11回の協議が開かれましたが、裁判の判決を生かした審査基準に改定されたことはありません。このため、裁判によって認定された事例が厚労省の審査では却下される事態が続いています。

長方形に並べられた机に着席する参加者ら。それぞれの参加者の手元には紙の資料がある。テレビ局のものかはわからないが、奥に大型のビデオカメラが据えられ、操作している人がいる。
定期協議にのぞむ日本被団協代表、原告団、弁護団
武見大臣
答弁する武見厚労大臣