10回目の厚生労働大臣との協議 同じ答弁のくり返しに失望の声も
2022年12月20日、第10回目となる厚生労働大臣と日本被団協・原爆症認定集団訴訟原告団・同全国弁護団との定期協議が厚生労働省9階の省議室で開催され、全国から被爆者や支援者68人が参加ました。
冒頭、加藤勝信厚労大臣と箕牧智之日本被団協代表委員が、それぞれの立場を代表して挨拶。日本被団協の家島昌志代表理事の司会進行で協議が始まりました。
日本被団協の木戸季市事務局長は、核廃絶の実現に向けた世界の潮流にふれながら、原爆症認定に関する行政処分と司法判断が乖離した現状は放置できないと強調しました。
原告団の綿平敬三団長、日本被団協の児玉三智子事務局次長が、被爆後に苦しんだ差別や生活実態について胸に迫る証言をおこない、原告団事務局で東友会相談員の村田未知子さんが、東京の被爆者の相談事例から深刻な実例を紹介しました。
加藤大臣は、その一つひとつに同情と理解を示しながらも、「被爆者に寄り添い現行基準の範囲内で認定行政を進めていく」と、これまでと同じ答えを返しました。
弁護団連絡会会長の藤原精吾弁護士は、原爆症認定に関し、国家補償的性格を持つ被爆者援護法をふまえず被爆者に門戸を閉ざした厚労省の運用姿勢と、これに対する司法の断罪が定期協議の出発点であり、この改善を避け続ける厚労省側の態度は「確約書」違反であると迫りました。
弁護団連絡会事務局長の中川重徳弁護士は、日本被団協が提起する「当面の要求」の実現に関し厚労大臣の英断を求めましたが、大臣は「裁判は個々の事情を個別に判断した結果であり、行政としてこれを一般化して適用することはできない」と、従前の主張をくり返すのみでした。
最後に、日本被団協の田中煕巳代表委員と加藤大臣の挨拶で協議は終わりました。
厚労大臣が今後の協議継続に積極的な意欲を示したことがせめてもの救いといえますが、今回も明確な進展がない協議となりました。