「原爆症認定制度の在り方に関する検討会」第1回会合
官僚寄りの運営のなか被爆者側の委員が奮闘
2010年12月9日、厚生労働省の「原爆症認定制度の在り方に関する検討会」の第1回会合が厚労省の省議室で開かれ、東友会をはじめとする各地の被爆者と弁護士など50人以上が傍聴しました。
第1回とあって、細川律夫厚生労働大臣のあいさつの後、森亘座長(東大名誉教授・医師)の進行で委員の自己紹介。日本被団協の坪井直代表委員は、短時間ながらも堂々と広島での被爆体験を証言しました。
つづいて、用意された200ページをこえる資料にそって、厚労省健康局の担当者が1時間ほど制度や裁判の判決と厚労省の審査内容の乖離について説明。その後、各委員から発言がありました。
この検討会の委員に厚労省が依頼した14人には、日本被団協から坪井代表委員とともに田中煕巳事務局長、広島・長崎両市の副市長、裁判官を退官した弁護士、経済界、福祉問題の専門家や政府の原爆症認定審査を担当してきた医師も含まれています。
委員から意見が出されると森座長は、ほとんどすべてを厚労省の事務局に説明させ、厚労省主導で議事を進行。手を挙げて発言を求める田中事務局長を無視し続けました。
しかし田中事務局長は事前に用意した文書を示しながら、「検討会が原爆被害の実態や願いを尊重し、自主的・民主的に運営されることを願う」「被爆の実態と原爆症認定制度について、日本被団協の推薦者によるヒアリングを」と要請し、その後の議論をリードしました。
検討会後の記者会見では、傍聴した日本被団協の役員から「この検討会の意味すら説明されていない委員がいたことに驚いた」「何事にも事務局の発言を求める座長の姿勢は問題だ」という発言がつづきました。
第2回検討会は1月末に予定されています。