「原爆症認定の在り方に関する検討会」日本被団協は抜本改正を要求
世論の力で厚生労働省に迫ろう 原告被爆者、弁護士、医師が意見陳述
「原爆症認定の在り方に関する検討会」が、2007年9月28日と10月4日の両日、厚生労働省内の会議室で開かれました。
これは、原爆症認定裁判で国・厚生労働省が6回も連続敗訴したことから、「被爆の実態を説明できない原爆症認定基準は廃止せよ」という世論が大きく高まり、この声に押されて安倍晋三前首相が2007年8月5日、広島で「認定基準の見直し」を指示したことから、厚生労働省健康局長の所管で始まったものです。
第1回検討会(9月28日)は、厚労省側が制度の説明をした後、2人の原告が陳述。残留放射線の被害などを見ようとしない「審査の基準」の誤りを、被爆体験を基にきびしく批判しました。
日本被団協の田中熙巳事務局長は「審査の基準」を廃止して政令で「原爆症認定疾病」を定め、審査なしに認定するようにという日本被団協の要求を説明。
宮原哲朗全国弁護団事務局長が「もはや揺るぎようのない司法の流れ」として「審査の方針」の誤りをつく判決のポイントを説明しました。
第2回検討会(10月4日)では、日本被団協が推薦した齋藤紀医師が、放射線が影響している疾病の特徴を陳述し、日本被団協要求の正しさを裏付けました。
原子物理学者の澤田昭二名古屋大学名誉教授は、スライドを使って放射線被害の深刻さを陳述、残留放射線被害、内部被曝を考慮すべきだと述べました。
この後、原爆症認定審査をしている医療分科会の佐々木康人会長と、草間朋子会長代理が、審査は科学的で公正だと言いはる陳述をしました。
日本被団協は、見直しにあたっての要求(下記)を、厚生労働大臣あてに提出しています。
見直しにあたっての要求(抜粋)
- 控訴を取り下げ、全ての訴訟を解決すること
- 「審査の方針」を廃止すること
- 新しい「認定基準」による認定制度をつくること
- 一般に放射線起因性が肯定される負傷又は疾病を「原爆症認定疾病」とし、現に医療を要する状態にある場合には、疾病・障害認定審査会原子爆弾被爆者医療分科会の審査を経ることなく、厚生労働大臣はこれを原爆症と認定する
- 「原爆症認定疾病」を政令で定める。
- 政令で定められるべき「原爆症認定疾病」は以下のとおり。
- 中枢神経系腫瘍を含む全ての部位の固形癌、白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫等の造血臓器悪性腫瘍
- 原因不明の白血球減少症、難治性の貧血、骨髄異形成症候群などの血液疾患
- B型、C型のウイルス性肝疾患を含む慢性肝障害(慢性肝炎、肝硬変)
- 後嚢下混濁を伴う白内障
- 心筋梗塞、冠動脈硬化が認められる狭心症
- 肺線維症
- 甲状腺機能低下症や副甲状腺機能亢進症(高カルシウム血症)
- 熱傷や外傷の重度の後遺
- 胎内被爆者の小頭症