被爆者相談所および法人事務所
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原爆症認定集団訴訟 東京訴訟 いいかげんな認定行政にあらたな怒り

 2006年1月26日、原爆症認定を求める集団訴訟の第15回口頭弁論が東京地裁で開かれ、国・厚生労働省側が出してきた唯一の証人、児玉和紀氏にたいする尋問がおこなわれました。児玉氏は、放射線影響研究所(放影研)の疫学部長で、原爆症認定基準になっている「原因確率」をつくった人物です。
 被爆者側弁護団は、児玉証人が原爆放射線が人体におよぼす影響を研究する放影研の最高責任者の一人であることから、徹底追及の準備をし、5人の弁護士が尋問をおこないました。
 三重利典弁護士は、原爆症認定の審査基準となった統計が500万円の補助金を使った程度の研究でできたこと、「審査の方針」は厚労省が勝手に作り替えていたこと、0.1%でもよいから放射線の影響があれば原爆症と認定されねばならないことなどが明らかになったと報告。竹内英一郎弁護士は、放影研のデータは、メカニズムが分からない内部被曝をまったく考慮せず初期放射線しか考えていないことがはっきりした、DS86は机上の空論、放影研のこの調査は砂上の楼閣といいきりました。舟木浩弁護士は、脱毛が入市・遠距離の被爆者にも出ていること、山口県の医専教授の解剖検死で、3000メートル地点で死んだ6歳の女児がDS86では説明できない放射線症状であったことから、被爆の恐ろしい実態が示されていると指摘。稲垣高志弁護士は、厚労省側がさかんに使う「ポアソン回帰分析」の空疎さを突きました。内藤雅義弁護士は、放影研が最近、心筋梗塞、肝炎、白内障など多くの非ガン疾患について放射線との関係を認める研究論文を発表していることを評価しながら質問しました。
 尋問を通じて、児玉証人が、原爆症認定審査の中心人物でありながら、松谷最高裁判決についての検討もせず、被爆実態についてもほとんど関心を寄せず、「原因確率」という言葉は「好きじゃない」といいつつ変更も求めず、厚労省のいいなりになっている姿が浮き彫りにされました。
 傍聴した110人は、国・厚労省の原爆症認定行政のでたらめさに、怒りを新たにしました。
 この日、東京地裁に公正判決署名4000人分を提出しました。