被爆者相談所および法人事務所
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施設に入所した場合の助成

 近年、さまざまな種類の介護関連の施設ができています。こうした介護関連の施設への入所については、在宅での介護とは別に考えなければならない要素があります。おもな特徴を以下に説明します。ページ末尾には概要をまとめた一覧表も掲載しています。

医療保険の施設

 病院へ入院する場合です。東京都では「被爆者一般疾病医療機関」として都知事の指定を受けた病院では、「被爆者手帳」と「医療保険の資格情報が確認できる書類」を窓口に示すことによって、医療保険の自己負担分は「被爆者の制度」から助成されます(無料になります)。ただし、差額ベッド代、室料、日用品代、先発医薬品を希望した場合の差額など、医療保険の対象外の費用は無料になりません。
 「介護手当」を受けている被爆者が入院した場合は注意してください。「一般介護手当」では入院期間中の介護手当の申請はできません。「家族介護手当」では、月のうち1日でも在宅であれば手当は支給されますが、ひと月丸ごと入院しているような場合は、その月の手当は支給されません。

介護保険の施設

 介護保険の施設への入所も、介護保険の在宅サービスの場合と同様、サービスの種別(医療系サービス、福祉系サービス、地域密着型サービス)によって、「被爆者手帳」を使えるかどうかが大きく変わってきます。施設入所した場合に「被爆者手帳」が使えるか、「介護手当」を受けられるかを基準に、代表的な施設の一覧を挙げました。介護保険の在宅サービスと合わせて参考にしてください。

医療系サービスの施設

医療系サービスの代表的な施設にはつぎのものがあります。

  1. 介護老人保健施設(老健)
  2. 介護医療院
  3. 短期入所療養介護(老健でのショートステイ)

 多くの医療系サービスでは、「被爆者の制度」からの助成があるので、介護保険サービスの自己負担分を支払う必要はありません。ただし、要介護度によっては利用できない(入所できない)施設があることに注意してください。

福祉系サービスの施設

福祉系サービスの代表的な施設には、次のものがあります。

  1. 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム 通称「特養」)
  2. 地域密着型介護老人福祉施設(住民票のある地域の人のみ利用できる「特養」)
  3. 認知症対応型共同生活介護グループホーム
  4. 短期入所生活介護(特養でのショートステイ)

 福祉系サービスはとくに、「被爆者手帳」が使える・使えないがはっきり分かれています。要介護度によって、自己負担の有無が異なる施設やそもそも利用できない施設もあります。

地域密着型サービスの施設

地域密着型サービスの代表的な施設には、次のものがあります。

  1. 地域密着型介護老人福祉施設
  2. 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)

 「地域密着型介護老人福祉施設」は、福祉系サービスの「介護老人福祉施設(特養)」と同じ性格の施設で、規模が異なるものです。
 地域密着型の施設も、福祉系サービスの施設と同様、要介護度によって、自己負担の有無が異なる施設やそもそも利用できない施設もあります。

有料老人ホームなどの施設(おもに民間の施設)

 介護保険制度にもとづく施設ではありませんが、日常生活に関わる身体的介助・機能訓練(リハビリテーション)などを提供している施設があります。代表的なものは次のものです。

  1. 有料老人ホーム
  2. サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
  3. ケアハウス(軽費老人ホーム)

 医療保険制度でも介護保険制度でもない施設では、原則として「被爆者の制度」からの助成はありませんから、「被爆者手帳を見せれば無料になる」ということはありません。ただ、「在宅での介護」が前提となっている「介護手当」の受給については、その施設を自宅扱いできるケースでは、「介護手当」を受けられる場合もあります。

養護老人ホーム

 養護老人ホームとは、「老人福祉法20条の4」で決められている施設で、精神や身体、環境上、経済的理由で、自宅で養護を受けることができない65歳以上の人が入所できる施設です。
 養護老人ホームの利用料は、被爆者援護法38・39条の施策で被爆者は利用料が全額助成されます。実際には一度利用料を払ってから、払い戻しの申請をすることになります。

おもな介護施設の特徴と「被爆者の制度」の利用(2025年4月現在)
注 被爆者手帳が使える施設でも、食事代や日用品代など介護保険外の費用は自己負担になります。
施設の種類 概要 「被爆者の制度」の利用
「被爆者手帳」を使えるか 「介護手当」を受給できるか
特別養護老人ホーム(特養) 原則は「要介護度3」以上が対象。食事、入浴など日常生活の介助を受けながら生活する施設。費用は月額10万円から15万円ほど。地域によっては入所待ちの人が多く、数カ月から数年待つ場合もあるのが現状。 有効(介護保険のサービス利用料の自己負担分は助成される) 不可(自宅で受ける介護でないため)
介護老人保健施設(老健) 「要介護1」以上が対象。病院から退院したあとすぐに自宅で生活することが難しい人が在宅復帰を目指すために入る施設。入所期間は原則として3カ月から6カ月。費用は月額9万円から12万円ほど。 有効(介護保険のサービス利用料の自己負担分は助成される) 不可(自宅で受ける介護でないため)
介護医療院 「要介護1」以上が対象。医師・看護師が常駐し、疾患からの回復期にある寝たきりの人に医療ケアなどを提供する施設。回復した場合は退去となる。 有効(介護保険のサービス利用料の自己負担分は助成される) 不可(自宅で受ける介護でないため)
認知症対応型共同生活介護(グループホーム) 65歳以上、「要支援2」以上で認知症を持つ人が、専門的なケアを受けながら共同生活する施設。原則として、施設のある自治体に住民票を持つ人しか入所できない。 有効(介護保険のサービス利用料の自己負担分は助成される) 不可(自宅で受ける介護でないため)
介護付き有料老人ホーム 要介護認定を受けた人のみ対象の「介護専用型」と、自立・要支援などの人も対象にした「混合型」の施設がある。主に民間企業が運営し、看取りまで対応する施設もある。 無効 基本的に不可(自宅扱いにならないので介護手当は受けられない。ただし、「混合型」の施設で自宅扱いにできれば、「一般介護手当」を受給できる場合がある。)
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) 「自立」あるいは要介護度の軽い人が、見守りと生活相談サービスを受けながら暮らすことができる民間の賃貸住宅。要介護度が重い人や認知症が進んだ人は受け入れられない場合もある。 無効 基本的には可(自宅扱いになるので介護手当を受けられる。ただし、特定施設入居者生活介護の指定がある施設では自宅扱いにならないため不可の場合がある。)
住宅型有料老人ホーム 「自立」から「要介護5」までが対象。自宅のような位置づけで暮らすことができる民間の有料老人ホーム。「介護付き有料老人ホーム」と同様なサービスが受けられるが、家族などが訪問して介護することも可能。 無効 (自宅扱いになるので介護手当を受けられる)