被爆者相談所および法人事務所
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認定医療費(原爆症の認定)

 「原爆症認定」の申請を行い、「原爆症」と認定されると、その病気や障害の治療費は、全額国が負担します。つまり、健康保険証を使わなくても、「認定指定医療機関」にかかると医療費が無料になります。これが「認定医療費」です。
 「原爆症認定」制度は、国すなわち厚生労働省が被爆者施策の根幹にしている制度です。このため、「原爆症認定」だけは、厚生労働大臣が「疾病・障害認定審査会原子爆弾被爆者医療分科会」の意見を聞いて審査します。他の手当の審査は都道府県が担当しています。

原爆症と認定されるための2つの条件

 「原爆症」と認定されるためには、「放射線起因性」と「要医療性」の2つの条件が必要です。

第1の条件 「放射線起因性」

 「原爆症」として申請した病気の原因が、原爆放射線によるかどうか、という判断条件のことです。現在の具体的な条件は次の通りです。

原爆症認定で「放射線起因性」が認められる範囲

悪性腫瘍(固形がん)、白血病など血液のがん、副甲状腺機能亢進症
  1. 被爆地点が爆心地より約3.5キロメートル以内である者
  2. 原爆投下より約100時間以内に爆心地から約2キロメートル以内に入市した者
  3. 原爆投下より約100時間経過後から、原爆投下より約2週間以内の期間に、爆心地から約2キロメートルの地点に1週間程度以上滞在した者
    広島: 8月14日より前に入市し、その後1週間程度継続して滞在
    長崎: 8月17日より前に入市し、その後1週間程度継続して滞在
心筋梗塞、甲状腺機能低下症、慢性肝炎・肝硬変
  1. 被爆地点が爆心地より約2.0キロメートル以内である者
  2. 原爆投下より翌日までに爆心地から約1.0キロメートル以内に入市した者
放射線白内障(加齢性白内障を除く)
  1. 被爆地点が爆心地より約1.5キロメートル以内である者

 被爆した距離や入市した日は、「被爆者手帳」に記載されていますので確認してください。「被爆者手帳」を申請したとき申請者が書いた内容をもとにしています。まれに、申請の際に書いた内容と手帳の記載が違っている場合があります。そのようなときは、東友会にお知らせください。

第2の条件 「要医療性」

 「原爆症」として申請した病気が、いま治療や経過観察を必要としているかどうか、という条件です。現在の具体的な条件は次Iのとおりです

原爆症認定で「要医療性」が認められる範囲

悪性腫瘍(固形がん)、白血病
手術、制がん剤、放射線療法やホルモン療法などが終わった後、ほぼ5年以内。
乳がん、腎盂がん、尿管がん、膀胱がん、前立腺がん、甲状腺がんなどは、10年以内でも認定される場合があります。
副甲状腺機能亢進症、心筋梗塞、甲状腺機能低下症、慢性肝炎・肝硬変
定期的に医師の診察を受けて治療を受けている間。
放射線白内障(加齢性白内障は除く)
手術を予定していて、手術前の場合。(手術した後だと、「要医療性」はないと判断されてしまいます。)

認定医療費

 上記の2つの条件を満たして「原爆症」と認定されると、冒頭にも書いた通り、その病気や障害の治療は全額国が負担します。健康保険証を使わなくても、「認定指定医療機関」にかかると医療費が無料になりますが、無料になる医療費は、認定された病気や障害の治療費だけです。認定された病気の費用でも、医療保険の使えない差額ベッド代などは自己負担になります。つまり、「被爆者手帳」を使った場合の負担と同じです。

原爆症認定で受給できる手当

 「原爆症」と認定された被爆者は、「医療特別手当」または「特別手当」を受給できます。(詳細は手当の解説ページを参照)
 「医療特別手当」を受けている人には、3年ごとに更新手続き(「健康状況届」の提出)が求められます。この更新の際に「要医療性」がなくなった(病気が治った)と判断されれば、「医療特別手当」から「特別手当」に切り替わります。