被爆者相談所および法人事務所
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介護保険の在宅サービスの助成

 被爆者が介護を受けることになったとき、介護保健制度を利用することになります。介護保険制度には、被爆者を特別に支援する項目はなく、国民全体が等しく扱われています。
 介護サービスのなかには「被爆者の制度」から利用料が助成されるものもあり、それらのサービスでは「被爆者手帳」を見せれば利用料が無料(自己負担なし)になります。
 介護保険の「保険料」そのものは、被爆者の減免制度はありませんが、一般的な低所得者向けの減免制度はあります。

介護保険制度
「被爆者の制度」が使えない介護保険サービスは、被爆者も自己負担が必要です。
「被爆者の制度」が使える介護保険サービス
被爆者の自己負担はありません。
被爆者の制度
介護保険サービス利用料への助成とは別に、被爆者独自の「介護手当」があります。
介護保険外の自費サービス
被爆者も全額自己負担です。
介護保険制度およびそのサービス利用料と、「被爆者の制度」の関係

介護サービス利用料と「被爆者の制度」による助成

 介護サービスには、大きく分けて「医療系サービス」「福祉系サービス」「地域密着型サービス」があります。これらの介護サービスを利用すると、その利用料のうちの自己負担分(介護サービス利用料)を支払う必要があります。自己負担の割合は本人の所得によって1割から3割と変わります(下表参照)。ただし、介護を受ける人が被爆者であれば、この自己負担分が「被爆者の制度」から助成され、無料になるものがあります。一方、介護用具の購入費用など、無料にならないものもあります。

介護サービスの利用料のうち自己負担分の割合

負担割合の通知は区市町村から届きます。

年間所得額(年金収入等含む) 自己負担割合
340万円以上 3割
280万円以上かつ340万円未満 2割
280万円未満 1割

医療系サービス

 「医療系サービス」は、被爆者が病院など一般の医療機関と同様に、「被爆者の制度」から利用料が「被爆者一般疾病医療費」として助成されるため、被爆者本人の自己負担は原則的に無料となります。
 ただし、食事代や滞在費(室料、水光熱費ほか)など介護保険に含まれないものは、「被爆者の制度」からの助成がないため、被爆者も自己負担があります。

【注】 サービスを提供してくれる事業所や施設が「被爆者一般疾病医療機関」の届け出をしていない場合は、「被爆者健康手帳」を見せてもその場では支払いが必要です。いったん費用を支払ったあと、払い戻しの請求を東京都に出すことになります。このような場合、支払ったときの領収書を必ず保管しておいてください。

「被爆者の制度」で助成がある医療系サービス一覧(2025年4月現在)
サービス名 要介護度による違い
要支援1から要支援2
(介護予防サービス)
要介護1から要介護5
(介護サービス)
訪問看護 自己負担なし
訪問リハビリテーション 自己負担なし
通所リハビリテーション(デイケア) 自己負担なし
居宅療養管理指導 自己負担なし
短期入所療養介護(ショートステイ) 自己負担なし
介護老人保健施設(老健)入所 利用できませんこのサービス自体を使えません。 自己負担なし
介護医療院入所 利用できませんこのサービス自体を使えません。 自己負担なし
【注意】
  • 「自己負担なし」とは:
    介護保険制度による介護サービスの自己負担分(1割から3割)は、「被爆者の制度」で助成されます。「被爆者手健康帳」を使えない場合は、払い戻しの対象になります。
  • すべてのサービスに当てはまる注意事項として、滞在費や食費など介護保険外の費用は「被爆者の制度」の助成対象ではないため、自己負担になります。
  • ここに記載のない医療系サービスは、「被爆者の制度」による助成がないため、被爆者も介護サービス利用料を支払わなければなりません。
  • 表は大まかな説明です。現実の介護にそくした個別の相談は、東友会にお問い合わせください。

福祉系サービス

 「福祉系サービス」は、「医療系サービス」と違い、「被爆者の制度」で助成があるサービス(自己負担なし)と、助成がないサービス(自己負担あり)が、はっきり分かれています。
 従来、「福祉系サービス」と分類されてきた介護サービスが近年、「地域密着型サービス」として位置づけられるものが増えてきました。例えば、「認知症対応型共同生活介護(グループホーム)」などが「地域密着型サービス」として分類されるようになっています。次項「地域密着型サービス」もチェックしてください。

【注】 自己負担のないサービスでも、他県にある事業所や施設を利用した場合は、いったん費用を支払ってから、領収書等を付けて東京都に払い戻し請求の申請をします。

「被爆者の制度」で助成がある福祉系サービス一覧 (2025年4月現在)
サービス名 要介護度による違い
要支援1から要支援2
(介護予防サービス)
要介護1から要介護5
(介護サービス)
短期入所生活介護(ショートステイ) 自己負担なし
介護老人福祉施設(特養)入所 利用できませんこのサービス自体を使えません 要介護1から要介護2利用できません 要介護3から要介護5自己負担なし
通所介護(デイサービス) 自己負担あり特定のサービス(サービス種類コードA6)のみ、要支援の人も自己負担なし 自己負担なし
訪問介護(ホームヘルプ) 自己負担あり特定のサービス(サービス種類コードA2)のみ、要支援の人も「低所得者向けの減免制度」を利用できます。 原則は被爆者も自己負担ありですが、低所得者向けの減免制度があります。
【注意】
  • 「自己負担なし」とは:
    介護保険制度による介護サービスの自己負担分(1割から3割)は、「被爆者の制度」で助成されます。「被爆者手健康帳」を使えない場合は、払い戻しの対象になります。
  • すべてのサービスに当てはまる注意事項として、滞在費や食費など介護保険外の費用は「被爆者の制度」の助成対象ではないため、支払う必要があります。
  • ここに記載のない福祉系サービスは、「被爆者の制度」による助成がないため、被爆者も介護サービス利用料を支払う必要があります。
  • 表は大まかな説明です。現実の介護にそくした個別の相談は、東友会にお問い合わせください。

地域密着型サービス

 「地域密着型サービス」は、高齢者が住み慣れた自宅や地域で暮らし続けられるよう支援する介護サービスです。介護が必要になっても、自立した生活が送れるようお世話や機能訓練をおこない、家族の負担軽減も目的としています。
  「地域密着型サービス」の特徴は、区市町村ごとにサービスに違いがあることです。例えば、A市では提供されていても、隣のB市では提供されていないサービスがあります。そして、A市で提供されている「地域密着型サービス」を、隣のB市に住む人が利用することは、原則としてできません。ただし、市町村間に協定があれば、隣接地域の方も利用可能な場合があります。
 以前は助成対象でなかった「認知症対応型共同生活介護(グループホーム)」の介護サービス利用料が、2021年度から「被爆者の制度」から助成されるようになりました。

「被爆者の制度」で助成がある地域密着型サービス一覧(2025年4月現在)
サービス名 要介護度による違い
要支援1から要支援2
(介護予防サービス)
要介護1から要介護5
(介護サービス)
小規模多機能型居宅介護デイサービスを中心に訪問介護やショートステイを組み合わせ、在宅での生活の支援や機能訓練をおこなうサービス 自己負担なし
看護小規模多機能型居宅介護上項「小規模多機能型居宅介護」のサービスに加え、訪問看護(医療系サービス)などのサービスが利用できるもの 利用できませんこのサービス自体を使えません 自己負担なし
定期巡回・随時対応型訪問介護看護 自己負担なし
認知症対応型共同生活介護(グループホーム) 自己負担なし
【注意】
  • 「自己負担なし」とは:
    介護保険制度による介護サービスの自己負担分(1割から3割)は、「被爆者の制度」で助成されます。「被爆者手健康帳」を使えない場合は、払い戻しの対象になります。
  • すべてのサービスに当てはまる注意事項として、滞在費や食費など介護保険外の費用は「被爆者の制度」の助成対象ではないため、支払う必要があります。
  • ここに記載のない地域密着型サービスは、「被爆者の制度」による助成がないため、被爆者も介護サービス利用料を支払う必要があります。
  • 表は大まかな説明です。現実の介護にそくした個別の相談は、東友会にお問い合わせください。