被爆者相談所および法人事務所
〒113-0034 文京区湯島2-4-4平和と労働センター6階
電話 03-5842-5655 ファックス 03-5842-5653
相談電話受付時間
平日 午前10時から午後5時、土曜 午前10時から午後3時

線引き残す原爆症認定基準では償いにならない 真の解決へ運動提起

厚労省は「新方針」で認定開始、しかし…

 2008年4月7日、厚生労働省は原爆症認定審査を担当する被爆者医療分科会の第1審査部会と第4審査部会を開催。63人の被爆者を原爆症と認定しました。今回の審査は4月から使われている「新しい審査の方針」を使った「積極認定」のはじめての審査。厚労省の発表によると認定された63人の内訳は、消化器系をのぞいた悪性腫瘍の審査を担当する第1審査部会で原告16人(下表)をふくむ認定申請53人、異議申し立てが7人、白内障と心筋梗塞の審査を担当する第4審査部会で認定申請3件とのことでした。
 今回認定された原告16人のなかには、東京原告団副団長の梅園義胤さん、吉澤純一さん、関口智恵子さん(2005年8月死去)など6人が含まれました。
 11日の記者会見に参加した梅園さんは、支援に感謝しながら「一緒に申請した幼なじみは法廷に立つこともできずに亡くなった。原告全員が認定されるまで、一緒にがんばっていく。一刻も早い認定を」と発言。不自由な足で介護を受けながら記者会見に参加した吉澤さんは「今頃認定しても、厚労省のやり方は許せない。一家5人を一瞬に失った償いを求めている」と声を震わせました。

新たな基準で原爆症認定された原告の被爆状況等一覧
裁判所 性別 被爆時年齢 被爆状況 疾病名 申請日 備考
札幌 男 22 広島 1.8キロ 右腎ガン 2001年2月10日
札幌 男 22 広島 1.87キロ 皮膚ガン 2000年3月10日 前立腺ガンは未認定
札幌 男 16 広島 1.8キロ皆実町3キロ 前立腺ガン 2003年8月26日
東京 男 26 広島 白島中町1.8キロ 腎臓ガン 1996年6月30日
東京 男 5 広島 白島九軒町2キロ 腎臓ガン肺転移 2002年2月21日
東京 女 12 広島 皆実町2.4キロ 卵巣ガン 2002年4月13日 死亡
東京 女 20 広島 東観音町1.1キロ 悪性黒色腫 2002年9月19日
東京 女 8 広島 牛田町2.2キロ 子宮体ガン 2003年3月6日
東京 男 17 広島 千田町2キロ 前立腺ガン 2003年3月6日
大阪 男 14 広島 比治山橋東詰1.8キロ 皮膚ガン 2002年7月31日
大阪 男 12 広島 皆実町2キロ 喉頭ガン 2000年10月9日
広島 男 14 広島 舟入町1.5キロ 前立腺ガン 2002年4月2日
広島 男 19 広島 当日中心地へ入市 前立腺ガン 2000年9月27日
広島 男 8 広島 舟入川口町2キロ 腎臓ガン、膀胱ガン 2002年7月18日
広島 男 14 広島 東蟹屋町2.7キロ 前立腺ガン 2007年7月29日
広島 女 4 広島 宇品町2.5キロ 右乳ガン術後転移 2002年8月13日 死亡

被爆の実相、被爆者の願い、世論の力で

 厚労省には現在、3000人分の原爆症認定審査が滞留していると報道されており、厚労省は「さらに審査会を開いて原告や被爆者を認定していく」と発言しています。
 しかし政府が、原告を一度却下した「処分」を取り消して「新方針」で認定する一方、裁判を取り下げず法廷で「原告は被曝していない」などと主張していることの矛盾が、いま国会と裁判所で大きな問題になっています。
 5月19日に札幌地裁が今回認定された3人の原告をふくめ7人に判決を言い渡します。その後、仙台高裁と大阪高裁の判決が続きます。この時期に、日本被団協と全国支援ネットワークは、被爆状況や病名による線引きをやめさせ、原告の全員救済と裁判の全面解決を求めて、座り込みをふくめた行動を6月なかばまで実施することにしています。
 東友会は4月の役員会でこの行動に呼応した「東京行動企画」を決定。緊急100万人署名への協力のよびかけ、団体要請、国会議員への報告・要請などを地区の会とブロックを中心におこなうことにしています。

「新しい審査の方針」における「起因性」判断 3つのポイント

  1. 「原因確率」10%以上は審査を省略して自動認定
  2. 積極的に認定する範囲
    1. 爆心地から3.5キロ以内での直接被爆
    2. 原爆投下後100時間以内に爆心地から2キロ以内に入市
    3. 原爆投下100時間後から2週間以内に爆心地から2キロ以内の地点に1週間以上滞在
    ただし、病名の指定あり。
    • 悪性腫瘍:固形ガンなど、白血病
    • 副甲状腺機能亢進症
    • 放射線白内障(加齢性白内障を除く)
    • 放射線起因性が認められる心筋梗塞
  3. その他は総合判断: 被曝線量、既往歴、環境因子、生活暦などを勘案して総合判断
並べられた机に着席し話を聞く参加者たち。
大勢の被爆者が熱心に耳を傾けた「新方針」説明会