被爆者相談所および法人事務所
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厚労省「検討会」原爆症認定審査の現状追認 被爆者いっせいに抗議

厚生労働省前で

 厚生労働省が、専門家から科学的知見を聞いて「見直す」として7回の会合を重ねてきた「原爆症認定の在り方に関する検討会」が2007年12月17日、「報告」を厚生労働省健康局に提出しました。
 ところが内容は、被爆者切り捨ての根拠になってきた「原因確率」を合理的だとし、これまでの「審査は妥当」といい「審査の基準」をわずかに手直しするだけ。国側の6度にわたる敗訴判決の反省が全くありませんでした。
 このため日本被団協と東友会、弁護団、支援団体は18日、厚生労働省前で抗議行動をおこない、報告の撤回を求めて厚生労働大臣に緊急面会を求めました。

写真奥、2人の人物が立って書類の受け渡しをしている。他の参加者は長方形に並べられた机に着席している。
検討会の座長から厚労省健康局長に「報告」が手渡された場面
厚労省前の歩道で、横断幕を掲げ、厚労省に向かってこぶしを挙げる行動参加者ら。
検討会の報告に対して厚生労働省前で抗議する原告・被爆者、支援者たち
机を挟んで向かい合い着席する、被爆者代表らと厚労省職員ら。被爆者代表の一人が立って抗議文を読み上げている。
厚労省に抗議文を手渡す被爆者代表たち

院内集会も

 さらに午後2時から、衆院議員会館で抗議の院内集会を開きました。
 集会には、公明党・谷合正明被爆者問題対策委員長、共産党・小池晃政策委員長、社民党・保坂展人平和市民委員会委員長らが参加しました。
 開会と同時に、「こんなにひどい報告が出てくるとは」「62年前の急性症状に証人を出せなどとは不可能を強いること」「これでは裁判は1件も解決できない」「裁判をしなければ解決しないとは、被爆者に死んでしまえと言うようなものだ」などの発言が相次ぎ、政党を超えて断固厚生労働省を追及すると、各党代表も激しい怒りで充ち満ちました。
 民主党は、立法で行政を縛るしかないと言って、立法チームを発足させ、法律の専門家を呼んで検討をはじめました。

厚生労働省「原爆症認定の在り方に関する検討会」報告の概要
2007年12月17日

 厚生労働省健康局長の下に設置された「原爆症認定の在り方に関する検討会」は、2007年9月に第1回会合を開いて以来、約4カ月間に7回の検討会を開催して、12月17日に「報告」をまとめました。資料として、その中の要点についての部分(原文抜粋)を掲載します。

見直しの方向性

  1. 被曝線量の評価について
    • 初期放射線については、DS86に替えて、DS02を導入すべき。
    • 残留放射線については、誘導放射線及び放射性降下物について、可能な限り、個人毎に移動経路や滞在時間に基づく線量計算の導入を検討すべき。
  2. 放射線起因性の判断について
    • がん、白血病及び副甲状腺機能亢進症については、被曝線量及び原因確率による評価とともに、急性症状等も評価して、総合的に判断を行うべき。
    • 心筋梗塞については、しきい値等の設定を検討すべき。その他の疾患については、今後とも知見の集積に努め、後日改めて評価を行うべき。
  3. 審査の迅速化及び審査の取扱いについて
    • 原因確率が例えば50%を超える場合には、分科会の審査を省略し、迅速に認定を行うこととすべき。
    • 原因確率が10%以上から50%未満である場合には放射線起因性を推認するに足る相応の資料があれば、総合判断の対象とすべき。
    • 原因確率が10%未満の場合においても、過去の資料等に基づき急性症状を考慮に入れるなど、総合判断の対象とすることとすべき。しかし、日常生活で自然界から浴びる放射線にも満たない被曝である場合はこの限りではない。
    • 経験則も踏まえた個別の認定を充実することができるように、分科会の審査体制を整備すべき。審査については、今後新たに得られる科学的知見も取り入れ、適宜見直しを行える体制を整備すべき。