被爆者相談所および法人事務所
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2011年発表の抗議・声明など

福島第一原発事故についての抗議と要請

2011年8月30日

東京電力社長 西沢俊夫殿

  • 東京都原爆被害者団体協議会(東友会)
  • 会長 飯田マリ子

 私たち原爆被爆者は、福島第一原子力発電所から放散される放射性物質で、福島県民はじめ日本国民が不安と苦悩を強いられている毎日のニュースに、胸を締め付けられるような痛みと深い悲しみを感じています。
 赤ちゃんに、ミルクを安心して飲ませることのできないお母さんたち。外で遊べない子どもたち。丹精して育てた牛を売ることができず悲嘆にくれる農家の方がた。こんな悲しい現実が、いつ収束するかの見通しもないまま続いています。
 これはすべて、政府と東京電力の責任です。
 私たち被爆者は、66年前、広島・長崎で原爆の放射線を直接、間接に受け、苦しみ続けてきた経験から、私たちのような放射線被害者を世界のどこにもつくるなと、一貫して訴え続けてきました。しかし、被爆国である日本で、今度は日本人自身の手によってヒバクシャがつくり出されているのです。

 私たちは満身からの憤りを込めて、日本政府と東京電力に抗議し、そして次のことを要求します。

  • 一、 原子力発電所の新増設計画はすべてとり止めること。
  • 一、 現存する原発については年次計画を立てて操業停止・廃炉すること。
  • 一、 自然エネルギー、再生可能エネルギー利用に向けて大転換すること。
  • 一、 被害者に対し万全の補償をすること。その経費は東京電力の自己責任でおこない、国民に負担をかけないこと。

アメリカの臨界前核実験に抗議します

2011年7月22日

アメリカ合衆国大統領 バラク・H・オバマ殿

  • 東京都原爆被害者団体協議会(東友会)
  • 会長 飯田マリ子

 あなたが、昨年12月と今年2月に臨界前核実験を強行したこと、「Zマシン」による実験をくわえれば、4回もの核実験をおこなったことに対して、私たち東京に住む原爆被爆者は、深い悲しみと憤りを感じています。
 あなたは2年前、「イエス・ウィ・キャン」と叫び、アメリカだけでなく世界の人びとに希望を与えました。そして、プラハでの演説は、私たち被爆者を励ましました。
 しかしあなたは、「保有する核兵器の安全性と信頼性を維持するため」との理由で、実際には、核兵器の維持と開発につながる実験をすすめています。この暴挙に、私たちは、深い失望を抱いています。
 核兵器は、一瞬にして人間を炭のように焼き殺し、あるいはヤケドによる赤むくれの姿に変えました。私たちは、建物の下敷きとなった父母を、子どもを、家族たちを見捨てて逃げなければなりませんでした。66年が過ぎても、家族の最期の様子も、遺骨すらみつからない者も多く残されています。そして、この間、子孫たちへの放射線の影響への不安を抱えて生きています。
 私たちは、このような地獄の体験を決して地球上にくり返させないために、あなたとあなたの政府に要求します。

  1. 核兵器廃絶に関する国際条約を締結させるための行動を、ただちに開始してください。
  2. あらゆる形での核兵器の開発・研究の計画を、ただちに中止してください。
  3. あなたがプラハで述べた「核兵器を使用した唯一の核保有国としての道義的責任」を果たすために、アメリカ政府として具体的な行動を開始してください。
  4. あなたの国の人びとに広島・長崎とともに、マーシャル諸島、ネバダ周辺などの被害の実態を広く知らせてください。

アメリカの新たな方法での核実験に抗議します

2011年5月25日

アメリカ合衆国大統領 バラク・H・オバマ殿

  • 東京都原爆被害者団体協議会(東友会)
  • 会長 飯田マリ子

 あなたが「Zマシン」という新しい形での核実験を、昨年11月と今年3月に二度もおこなっていたことを知り、私たち東京に住む原爆被爆者は、深い悲しみと憤りを感じています。
 一昨年4月のあなたのプラハ演説とノーベル平和賞の受賞、昨年5月の国連NPT再検討会議、米大使の被爆地訪問と平和祈念式典への参列という貴国をはじめとする世界の動きのなかで、私たちは核兵器ゼロの世界への「足音」を感じてきました。
 しかしあなたは、周到に核兵器の維持と開発につながる実験への準備をすすめ、核態勢の見直しをおこない、新たな核実験を実行しました。この暴挙を、私たちは、断じて容認することはできません。
 私たちが、ヒロシマ・ナガサキの「あの日」から、人生の大半、66年もの歳月、自分のみならず子孫たちへの放射線の影響への不安を抱えて生きていかなければならない悩みや苦しみを、あなたは、どうお考えなのでしょうか。
 私たちは、核兵器から人類とこの地球を救うために、人類最初の核戦争から生き残った者の使命として、あなたとあなたの政府に要求します。

  1. 昨年5月のNPT再検討会議で合意された「核兵器のない世界の平和と安全を達成する」という目標の実現をめざし、核兵器廃絶に関する国際条約を締結させるための行動を、ただちに開始してください。
  2. 臨界前核実験をふくむ、あらゆる形での核兵器の開発・研究の計画を、ただちに中止してください。
  3. あなたがプラハで述べた「核兵器を使用した唯一の核保有国としての道義的責任」を果たすために、アメリカ政府として具体的な行動を開始してください。
  4. あなたの国の人びとに広島・長崎とともに、あなたの国のマーシャル諸島、ネバダ周辺などの被害の実態を広く知らせてください。

新聞「東友」の2011年5月号・6月号には、この抗議文に直接触れた記事はありません。抗議文発表の数日後に開催された総会がこの核実験について触れているので、リンクを掲載します。
8月号の、臨界前核実験に対する抗議文(当ページの前項)についての記事では言及されています。