被爆者相談所および法人事務所
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【声明】あずま数男かずお原爆裁判で勝利判決
控訴断念と、集団訴訟の完全勝利を勝ち取ろう

 あずま数男原爆裁判の完全勝訴をうけ、東京都原爆被害者団体協議会(東友会)は日本被団協・あずまさんの弁護団・東京おりづるネット(原爆裁判の勝利をめざす東京の会)と連名で以下の声明を発表しました。

 本日、東京地方裁判所民事第2部(市村陽典裁判長、森英明裁判官、丹羽敦子裁判官)は、厚生労働省を被告に原爆症認定却下の取消しを求めていた裁判で、原告のあずま数男かずおさんの完全勝利という画期的な判決を言い渡しました。
 あずまさんは、16歳の時に勤労動員で働いていた長崎の三菱重工長崎兵器製作所で被爆し、被爆直後から、発熱、脱毛、血性の下痢、嘔吐などの急性症状に見舞われ、その後も倦怠感や食欲不振、体調不良に苦しみ続けました。
 そのあずまさんが、肝機能障害を理由に求めた原爆症の認定が却下されたため、1999年に提訴し、5年間の闘いの末、ようやく勝利を手にすることができました。東京地裁の判決には、次のような理由が述べられています。
 「原告の本件認定申請時における肝機能障害に関する症状及び血液検査の結果と、原告の被爆時の状況、爆心地からの距離、被爆後における行動等から窺われる原告の放射能被曝の重大性、被爆直後における急性症状の内容の程度、現在に至るまでの健康状等とを、現時点における上記の科学的知見及び経験則に照らして全体的、総合的に判断すれば、原告の肝機能障害については、原告が爆心地から至近の地点において多大な原爆放射線に被曝したことが、HCVの感染とともに慢性肝炎を発症又は進行させるに至った起因となっているものと認めるのが相当である。」
 あずまさんは、現在75歳の高齢を迎え、病状も悪化しており、これ以上の裁判に耐えられる状態にありません。厚生労働省は、裁判所の判断に従い、直ちに控訴を断念し、あずまさんを原爆症と認定すべきです。
 それと同時に、私たちは厚生労働省に対し、被爆者行政を抜本的に改め、現在、全国10地裁に提訴している131人の原告の認定却下処分を取り消し、さらに高齢を迎えつつある被爆者が安心して生活できるよう、「原因確率」という非科学的で非人道的な認定基準を直ちに廃止することを求めます。
 被爆から58年、被爆者はいまなお原爆による肉体的・精神的・経済的なさまざまな被害を蒙っています。被爆者の願いは、自分たちのような苦しみを最後にしたい、そのために核兵器の廃絶を実現することにあります。
 市民の皆さんには、厚生労働省に東判決の控訴を断念させるために、そして被爆者の願いを実現するために、力を貸していただくようお願いします。

2004年 3月31日

  • 日本原水爆被害者団体協議会
  • 東京都原爆被害者団体協議会
  • 東数男原爆裁判弁護団
  • 原爆裁判の勝利をめざす東京の会
東京地裁前
完全勝訴の判決後、東京地裁前で