ノーモア・ヒバクシャ大阪訴訟 高裁で逆転勝訴
1キロ入市の心筋梗塞を認定
2021年5月13日、大阪高等裁判所が、長崎の入市被爆者の心筋梗塞を原爆症と認める逆転勝訴の判決を言い渡しました。
厚生労働省が入市被爆者の心筋梗塞を原爆症と認定する現在の基準は、原爆投下の翌日までに1キロ以内とされています。この被爆者は、4歳のとき投下後3日目に爆心地から1キロ近くまで入市しており、がんなら「積極認定」とされている被爆状況です。しかし、地方裁判所は被曝線量を「具体的・定量的に明らかにすることはできない」というこれまでの判決にはなかった枠組みを持ち出して、原告の放射線起因性を否定したため、控訴して争っていました。
判決当日は緊急事態宣言下であるため、近畿原告団・弁護団は高裁前での「はた出し」はおこなわず別途報告集会を開催。原告団、弁護団と支援ネットは「被爆者が裁判をする必要がないように制度を抜本的に改め、被爆者の命あるうちに問題を解決せよ」と要求する声明を出しました。
厚労省が自庁取消をして、この原告を認定すれば、原告団、弁護団と日本被団協が、大臣協議の場で2018年3月から求めている「当面の要求」の基準を、高裁判決がまたも裏付けたことになります。
これで、係争中のノーモア・ヒバクシャ訴訟原告は、高裁2人、最高裁3人となりました。