被爆者相談所および法人事務所
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ノーモア・ヒバクシャ東京2次訴訟 6人全員勝訴

被爆者援護法の趣旨を活かすべき 厚労省の機械的な原爆症認定審査を退ける判決

 2016年6月29日、東京地方裁判所民事第38部(谷口豊裁判長)が、ノーモア・ヒバクシャ東京第2次訴訟の原告6人全員に勝訴判決を言い渡しました。これは、2015年10月29日の東京第1次訴訟の原告17人全員勝訴につづくもの。傍聴と報告集会には、原告とともに、東京、神奈川、千葉、埼玉の被爆者96人と、支援者、弁護団をあわせて120人以上が参加しました。
 東京第2次訴訟は、当初、11人の被爆者と遺族が提訴しましたが、直後に厚生労働省が審査基準を改定し、原告のうちの5人を認定。判決の対象になった原告は6人になっていました。参加者は「訴訟の全面解決と制度の抜本改正を」と大書された横幕を掲げて、参加できた原告4人を先頭に東京地裁に向かって行進。東京地裁最大の103号法廷は、傍聴者で埋め尽くされました。
 法廷で谷口裁判長が、高齢の被爆者をいたわるようにゆっくりと全員の勝訴を告げると、若手の弁護士3人が「全面勝訴」「被爆者を苦しめるな」「裁判の早期全面解決」の文字をかかげて駆け出し、参加者は裁判所前で「厚労省は控訴するな」のカードを掲げて喜び合いました。
 原告の川崎武彦さんは、涙ぐみながら「厚労省の基準より1キロオーバーしているが、被害の実態を知ってくれた裁判官に認められて嬉しい」と話していました。

裁判所前、「全面勝訴」「被爆者を苦しめるな」「裁判の早期全面解決」の文字をかかげる弁護士と、万歳する被爆者・支援者たち数十人が写っている。
東京地裁前で勝訴判決を喜び合う原告と支援者たち

全員の勝利を喜び、抜本改善への決意あらた
首都圏の被爆者や支援者が判決報告集会

 閉廷後の判決報告集会では、最初に応援に駆け付けた神奈川県被災者の会の中村雄子会長、千葉県原爆被爆者友愛会の児玉三智子事務局長が、参加した被爆者を紹介しながら激励のあいさつ。つづいて東京弁護団の吉田悌一郎弁護士が、1993年の長崎原爆松谷訴訟から23年間にわたった原爆症認定制度の改正を求めてきた認定裁判の成果について、レジュメと資料を使って報告した後、参議院選挙期間中にもかかわらず駆けつけた初鹿明博衆議院議員(民進党)が、マイクを握って原告と被爆者を励ましました。
 勝訴判決を受けた山本英典原告団長は、「この判決を力に訴訟の全面解決と制度の抜本改定を求める運動を強めたい」と感謝をのべ、原告の水野正治さん、立野季子さん、川崎さんが、それぞれマイクを持って被爆当時や直後の状況にもふれながら、喜びを語り合いました。
 その後、判決の分析を終えた弁護団を代表して弁護団事務局長の中川重徳弁護士が、今回の判決の内容について説明。大阪から駆けつけたノーモア・ヒバクシャ訴訟近畿弁護団事務局長の愛須勝也弁護士が「傍聴席を埋めている被爆者のみなさんの思いが裁判官を動かした」と発言。日本被団協の田中煕巳事務局長も、埼玉県しらさぎ会の会長としても原告や参加者を激励しました。
 毎回法廷を傍聴して支援を続けてきた東京原水協、東京民医連、東京反核医師の会の代表もあいさつしました。
 最後に、原告団と弁護団、東友会などがだした「声明」を東友会の山田玲子執行理事が朗読し、東友会の大岩孝平代表理事が「控訴は絶対に許せない」と閉会のあいさつをのべ閉会しました。

会場の一番後ろから、報告集会の様子を写した写真。演台でマイクを使っている人の話を、着席した参加者達が聞いている。
全面勝訴の詳しい報告をする弁護団の話に熱気があふれた報告集会