被爆者相談所および法人事務所
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原爆症認定訴訟 却下理由を明示しない国側を追及

被爆者側の弁護士が迫力の弁論

 厚生労働省が自ら定めた「新しい審査の方針」によっても原爆症認定申請を却下された東京の被爆者20人が、却下処分の取り消しを求めて起こしている新しい「原爆症認定東京訴訟」の第3回口頭弁論が12月18日、東京地裁103号法廷で開かれ、70人が傍聴しました。
 この日は弁護団からの意見陳述。弁論を担当したのは金井知明弁護士。国側が出している書証は「科学的知見」の一般論ばかりで、申請した個々の被爆者の疾病が放射線となぜ関係ないというのか、「処分理由を明示せよ」と迫りました。
 金井弁護士はこの中で、「被告・国側は,原告に対してカルテやABCCの記録などの文書の提出を求めている。原告は事件の争点に資することはないと思っているが訴訟の遅延を避けるため資料提出に応じてきた。しかし被告・国側は、まったく却下理由をひた隠しにして回答しない。これはきわめて不誠実であり、公正・迅速に訴訟を進行させようとする姿勢ではない」と批判しました。

法廷後は報告集会

 弁論は30分ほどで終わり、傍聴者は弁護士会館で報告集会を開きました。集会では、亡くなった原告への黙祷の後、この日の裁判に参加できた原告7人が自己紹介。被爆者と支援者、弁護団への裁判の支援へのお礼とともに、「あれだけ書類を整えたのに、私のガンが原爆放射線と無関係だという証拠を国は何も示さない」と怒りのこもった発言もありました。
 その後、厚生労働省の「原爆症認定制度のあり方検討会」について宮原哲朗弁護士が、この日の法廷について金井弁護士が、それぞれ報告。
 本訴訟の争点については、弁護団長の内藤雅義弁護士が「弁護団として、国から却下理由を明確にした文書が提出されない限り、訴訟の進行ができないと判断している」と発言。事務局長の中川重徳弁護士が、医師団の協力を得た意見書づくりなど今後の動きについて発言しました。
 あずま訴訟と原爆症認定集団訴訟で十数年にわたって支援してきた東京原水協からは、柴田桂馬代表委員が「被爆の実態に即した原爆症認定制度にするために被爆者のみなさんが命がけでたたかってきた集団訴訟の成果を行政が無視することは許せない」と発言。原告と被爆者を励ましました。
 次回の裁判日程は、は1月30日におこなわれる裁判所と原告、被告の代理人による進行協議で決められます。

会場前方に並べられた机には弁護士と原告。一人が立って報告をしている。並べられた机に着席した参加者たちがそれを聞いている。
口頭弁論後の報告集会で励ましあう原告、支援者、弁護団