判決で鮮明になったずさんな原爆症認定審査 小池議員が質問
原爆症認定にあたってのずさんな審査が、岡山地裁の国家賠償判決で明らかになり、国会でも問題になりました。取り上げたのは日本共産党の小池晃参院議員。2014年5月13日の参院厚生労働委員会で小池議員は、大阪地裁が5月8日、被爆者原告2人の原爆症認定について全員勝利の判決を出したことにふれ、「ノーモア・ヒバクシャ訴訟では判決が出た原告28人のうち21人が勝訴、4人が自庁取り消し(注:厚生労働省が自分で却下処分を取り消すこと)で認定になっている。控訴を断念すべきでないか」と質問しました。
ずさん審理ここにも
小池議員はつづけて、東京の川田義男さんが膀胱ガンで申請して却下されたことをとり上げ、「川田さんは克明に看護活動をしたことを書いているのに、審査の一覧表の入市欄はブランクだ。それで却下している。これでいいのか」と追及しました。
厚生労働省の佐藤敏信局長は「被爆時の確認はしているし、申請内容の不備には都道府県にも問い合わせている」と答え、岡山の国家賠償事件についても「間違いといえるかどうかわからない」などと言い逃れしました。
小池議員は、田村憲久厚生労働大臣に向かって「岡山のは間違いだったのでしょう」と質問。大臣がうなずいているのを確認しました。
小池議員はさらに「新しい審査の方針では、放射線被曝による健康被害が必ずしも明らかでない範囲を含め積極認定の範囲を設定するとしているが、これはイエスかノーか」と質問。佐藤局長から「そのとおり」という答弁を引き出しました。
法改正を超党派で
小池議員は最後に、認定制度の改正にふれ「政治の決断が求められている。被団協提言は事態を打開する中身だ。党派を超えて、新しい制度をつくるときではないか」とのべ、質問を終えました。
この委員会の審議を、東友会の大岩孝平会長をはじめ被爆者、弁護士ら12人が傍聴。中川重徳弁護士は「事実と道理に基づく質問は、党派を超えて胸を打ちますね」と語っていました。