2020年発表の抗議・声明など
【声明】
核兵器禁止条約の批准、50カ国達成と「核兵器禁止条約」の発効に向けて
本日、私たち原爆被爆者の悲願であった「核兵器禁止条約」を50カ国が批准し、90日後に発効することが決まりました。
人類最初の核戦争であった広島・長崎への原爆投下から75年を超える歳月を経て、ようやくこの条約の発効が決まったことを、私たちは、まず、亡くなられた犠牲者の方々に報告いたします。
「あの日」広島・長崎で、一瞬の激しい閃光と熱線、直後に襲ってきた爆風によって、灼かれ、潰され、多くの方々が、名前すら告げることもできず殺されていきました。そして、深い火傷や深刻な外傷によって、あるいは無傷であっても脱毛、紫斑などが現れた多くの方々が、「人間の死」とはいえない、無惨な死を遂げられました。
その後75年。身体に巣くった放射線とたたかいながら、差別や偏見にも苛まれ、多くの方々が無念の思いで斃れ、今も多くの被爆者が放射線の影響で苦しみ続けています。
いま私たちは、その方々のお名前、お顔やお姿を思い起こしながら、喜びあいたいと思います。
「核兵器禁止条約」はその前文で、「ヒバクシャ及び核兵器の実験の容認し難い苦しみと被害に留意し」「核兵器の全面的な廃絶のためにヒバクシャが行っている努力を認識し」この条約を協定したとし、これまでの被爆者の努力を高く評価し、第6条では、締結国に対して国際人道法、国際人権法に基づく被害者の援助にもふれています。
条約が発効しただけで核兵器が廃絶されるわけではありません。今後の世界の人々の声と運動にかかっていることは言うまでもありませんが、私たちの長年の運動が実を結び、悲願実現にむけた確かな足がかりができたことは間違いありません。
しかし、日本国政府がこうした世界の流れに逆らって、アメリカの「核の傘」にしがみつき、被爆国としての役割を果たそうとしないことは残念でなりません。
私たちは高齢者になりました。私たちに残された時間は残り少なくなっています。今後とも、「あの日」から続く被害の実態を伝えながら、日本国政府に核兵器禁止条約の批准と参加を求め、核兵器廃絶と平和を願う都民のみなさまと国内外の人々と手を取り合って、残された時を共に歩みつづけることを誓います。
「われら生命もて ここに証す 原爆許すまじ」。私たちの原爆犠牲者慰霊碑に刻まれたこの言葉を抱いて。
2020年10月25日
- 一般社団法人 東友会
- 東京都原爆被害者協議会